Misery Signals「Ultraviolet」(2020)

アメリカのミルウォーキー州出身のメタルコアバンドの5thアルバム。


アメリカはミルウォーキー州出身のメタルコアバンドMisery Signals(ミザリー・シグナルズ)、4thアルバムから7年ぶりのアルバム「Ultraviolet」(ウルトラヴァイオレット)。今作は、初代ボーカル、Jesse Zaraska(ジェシー・ザラスカ)が14年にバンドに復帰して以来、初めての作品。

元々、Misery Signalsというバンドは、02年7angels7plagues、Compromiseの2バンドが合体し、結成された。03年に、Davin Townsendをプロデュースに迎え1stアルバム「Of Malice and the Magnum Heart」をリリースするも、05年、ボーカルのJesseが脱退。その後、2ndアルバム「Mirrors」からKarl Schubach(カール・シューバック)がボーカルとして加入。その後も、再びDavin Townsendをプロデュースに迎えた3rdアルバム「Controller」(08)、そして4thアルバム「Absent Light」(13)とリリースし、順風満帆に活動していると思われたが、14年に開催された1stアルバムリリース10周年記念ツアー「Malice X」初代ボーカル、Jesse Zaraskaが参加したことを機にバンドに復帰!!当時、ファンに向けて十分なアナウンスがされてなかったようで衝撃を受けたファンも多かったようだ。

叙情派メタルコアの雄であるMisery Signals。前作「Absent Light」は、平たく言えば、アイディアはいいが色々盛り込み過ぎな印象があり、正直勿体無いと思う部分も少なくなかったが、今作は、無駄の無い、随分と洗練された印象を受けた。思わず暴れたくなる曲がある一方で、一曲、一曲が心に残る、思わず聴き込んでしまう曲が増えたように思う。


メンバー

・ Jesse Zaraska(ジェシー・ザラスカ):Vocals

・ Ryan Morgan(ライアン・モーガン) :Guitars

・ Stuart Ross(ステュアート・ロス):Guitars

・ Kyle Johnson(カイル・ジョンソン) :Bass

・ Branden Morgan(ブランデン・モーガン) :Drums

楽曲紹介

01. The Tempest

02. Sunlifter

03. River King

04. Through Vales of Blue Fire

05. Old Ghosts

06. The Fall

07. Redemption Key

08. Cascade Locks

09. Some Dreams

#1 なるほど!!冒頭から怒りダダ漏れの音。明らかに元の畑はメタルじゃなくハードコアだ。Youth of Todayを聴いた時の質感に近い。根本的に音が"怒っている"。一曲の中でさまざまなリズムアプローチがあり、最後まで緊張感を維持したままま聴くことができる。

#2 冒頭のギター2本による叙情派ど真ん中のプレイがたまらなく美しい!!スラッシーなリフを中心に構成されているが、冒頭のフレーズを始めとする、悲しくも美しい叙情的なフレーズが一曲の中で上手いこと共存し、両者の良さが上手い具合に引き立っている。

#3 物悲しくも浮遊感のある#3。印象的な優しい歌声からアグレッション全開の激烈サウンドへ展開。冒頭部は、若干Cynicを彷彿とさせる。

#4 ホラー映画で流れそうな息が詰まりそうなノイズから若干シューゲイザーからの影響を感じさせる開放感たっぷりのパートへ。余談だが冒頭の無機質なノイズを聴くと、Code Orangeの「I Am King」のショッキングなMVが勝手に脳内再生される・・・。

#5 締まった音でゴリゴリ引っ張っていくリフと浮遊感ある叙情フレーズが重なることで、ヘヴィなサウンドでここまで色彩豊かな印象を人に与えられるのかと感動してしまう。

#6 ミドル系ナンバー。オルタナな匂いのする冒頭のノイジーなギター音が何とも印象的。コード感を大事にしながらのゴリゴリのリフやテクニカルなオブリをさらりと弾きながら、他のバンドのような弾いたった感"がない・・・いくつものレイヤーを重ねたひとつの”作品”を作ろうとしている感じ・・・上手く表現仕切れないがそこが好きだ。

#7 クリーンギターによる短いフレーズがループし、少しずつかたちを変えながら、やがてコーラス入りの歌とともに求心力のある世界感を構築していく。ポストハードコア的な質感の強い楽曲。

#8 内省的なフレーズから切なくも鮮やかな世界へ。躍動するバンドサウンドは細かく展開し、咆哮と共にパワー漲る生き物のような音の塊を私たちにぶつけてくれる。

#9 どこか青臭いバンドサウンドからゴリゴリのリフ主体へと移行!!細かいアレンジやリズムアプローチが意外に複雑でプログレッシヴ!!な今作を締めるのに相応しい一曲だと思う。

ヘヴィなサウンドでありながら、奥深い音像だったり世界観を提示してくれる、という意味では今年衝撃を受けたLoatheにも通じるものがあると思う。音楽性の幅も広がりを見せ、次のフェーズに突入したMisery Signals。今後の活動も目が離せない。