Black Crown Initiate「Violent Portraits of Doomed Escape」(2020)

2020年8月9日

ペンシルベニア州レディング出身のプログレッシヴ・デスメタルバンドの3rdアルバム。


12年の後半に結成されたBlack Crown Initiate(ブラック・クラウン・イニシエート)は、Sound Croudにいくつかのデモをリリースし、「Song of the Crippled Bull」という4トラックEPを作成。ンダーグラウンドな音楽ブログや出版物の間で話題となり、当初、James Dorton(ジェームズ・ドートン)、Andy Thomas(アンディ・トーマス)、Nick Shaw(ニック・ショー)による小さなプロジェクトだったのだが、Liveのために急いでバンドメンバーを募集することに。その後、数多のメンバーチェンジがあり、現在に至る。

今作「Violent Portraits of Doomed Escape」(ヴァイオレント・ポートレイツ・オブ・ドゥームド・エスケープ)は、16年以来4年ぶりのアルバム、今回は<Century Media Records>からのリリースとなる。バンドは、前作からJesse Beahler(ジェシー・ビーラー)(Dr)が脱退、新たにEthan McKenna(イーサン・マッケナ)(Gt)が加入した。今作は、加入以来、Ethan McKennaにとって初めての作品となる。実は、Ethanは、13年にリリースされたEP「Song of the crippled Bull」に関わっていたのだが、当時は、個人的な事情で加入が見送られたが、今回、晴れて正式なメンバーとなった。結成当初からギタリストを担ってきたAndy Thomasからも大絶賛されるほどの抜群のてテクニックを持っている彼。早くもバンドサウンドを支える重要な役割を担っているようだ。ツインギターのコンビネーションも聴きどころだ。

レコーディングは、From Ashes to NewGalactic Empire、さらにAugust Burns Redの作品ではグラミー賞にノミネートされたCarson SlovakGrant McFarlandが参加。


メンバー

・ James Dorton(ジェームズ・ドートン):Lead Vocals

・ Andy Thomas(アンディ・トーマス) :Lead Guitars/Clean Vocals

・ Ethan McKenna(イーサン・マッケナ):Rhythm Guitars

・ Nick Shaw(ニック・ショー) :Bass

楽曲紹介

01. Invitation

02. Son of War

03. Trauma Bonds

04. Years in Frigid Light

05. Bellow

06. Death Comes in Reverse

07. Sun of War

08. Holy Silence

09. He Is the Path

#1 物語の始まりを告げる幽玄なギターと歌。一気に引き込まれる中、唐突にアグレッション全開のデスメタルパートに突入。一面地獄絵図状態。その後もヘヴィなクリーンボーカルとデスボイスパートが交互に繰り出される。所謂ノーマルなデスメタルではなく、叙情的なギターフレーズやら変則的なリフ、クリーン/デスのプログレッシヴな展開などOpethからの影響が垣間見える。

#2 どこかクセのあるギターによる単音リフが印象的。後半につれて盛り上がりを見せるクリーンボーカルによるサビとブラスト風なドラムのコントラストがおもしろい。

#3 クリーン/デスパートが入れ替わるのはここまでと一緒だが、突き抜けるような透明感のあるパートが随所に顔を見せる。爽やかな歌メロも特徴的だが、何度か顔を出す軽快なギターストロークからは涼やかな印象すら受ける。音楽的なバックボーンの豊かさを感じ取れる楽曲。

#4 銃火器のようなツーバスが強烈な#4。硝煙の匂いが立ち込めそうな攻撃的パートからジャジーなリズムのゆったりとしたパートの落差が面白く、非常に奥行きのある作りとなっている。Andyによる突き抜けるような透明感あるクリーン・ボーカルパートがとにかくカッコいいので、ぜひみんな聴いてほしい!!

#5 完全にJamesによる独壇場。Bellowというタイトル通り"唸り声"な訳だが、グロウルやホーミーのような歌唱法で独自の内省的な世界観を作り上げている。DIR EN GREYがliveの曲間にやる“お経"(渦巻く感情を様々な歌唱法を駆使し、即興で表現する)に近いかも。

#6 どことなくOpethの「Ghost of Pardition」のイントロが頭をよぎる#6。ジャジーなドラミングも織り交ぜながら世界観を紡いでいく。何人もの話し声を重ねたホラーチックな効果音など細かいアレンジは目を見張るものがある。

#7 ギター2本によるコンビネーションが秀逸。分散和音フレーズを様々に組み合わせながら丁寧に世界観を紡いでいく。躍動感を感じさせるハットの刻みを中心としたドラミング、抑え気味の歌から唐突にカオティックな展開に。高速ツーバスによるフレーズはただただ圧倒されるのみ。透明感のある歌声が楽曲に厚みをもたらしている。

#8 どことなくプリミティブな雰囲気から一気に攻めモード。とにかく詰めに詰め込んだバックの演奏と大仰なまでにのびのびと歌うサビのギャップがとても印象的だ。

#9 低音の効いたボーカルを主軸に、メタルではなく、弦楽器や鍵盤を中心とした構成の楽曲。JAPANのDAVID SYLVIANのソロアルバムの世界観に近いかもしれない。

音楽性としては初期Opethのゴスの要素を若干薄めて、メタルコアを通過させた感じだろうか?デスメタル要素が無くなり、クラシカルなプログレ方面に舵を切った最近のOpethもいいけど・・・やはり、あの頃のOpethの幻影をいまだに追いかけてしまう!!という人には特にオススメしたい。もうブルータリティ方面の舵の切り方が抜群!!