Blood Youth「Visions Of Another Hell」(2021)
US・ハロゲートのハードコアバンドによる3rdアルバム。

14年、ハロゲートで結成されたハードコア・バンドBlood Youth(ブラッド・ユース)。19年の2ndアルバム「Starve」以来2年ぶりのアルバム。今作も、<Rude Records>(ルード・レコーズ)からのリリース。
レスターのハードコアバンドClimatesのメンバーとハロゲートのオルタナ・メタルバンドBook Of JobのボーカルKaya Tarsus(カヤ・タルサス)により14年に結成。初期は、メタリックなメロディックハードコアだったが2ndからは、硬派なハードコアサウンドは後退。かつてのNu Metalからの影響を色濃く感じさせるヘヴィで病的なサウンドに変化。
今作「Visions Of Another Hell」(ヴィジョンズ・オブ・アナザー・ヘル)は、2nd路線の延長線上にあるが、ただのNu Metalリヴァイバルではなく、様々なメタルを咀嚼した上で自分たちの世界観を確立。攻め一辺倒ではなく、アトモスフェリックな音像や冷酷なインダストリアルノイズを駆使し、ダークな世界観を提示。Code Orange?と思わせるバグを起こしたようなノイズや、Humanity’s Last Breathのような奥行きのある音像に最新型エクストリームシーンの音を感じる。それでいてSlipknotの初期作(3rdあたりまで)を思わせる要素を随所で聴くことができるため、当時2nd~3rdあたりをリアルタイムで追ってた身としては懐かしく、最初から最後まで息つく暇なく一気に聴いてしまった。特にボーカルKaya Tarsus(カヤ・タルサス)の歌声は、Coreyにそっくりなので、もしかしたら好き嫌いが分かれるかもしれないが、自分たちでもSlipknotファンを公言しているし、ボーカルワークの端々にCoreyへの愛を感じるので私は応援したい!!(といっても今回でボーカルは辞めてしまうのだが・・・残念)
内容は、以前リリースされたシングル曲「Iron Lung」、「Cells」、「Body of Wire」、「Colony3」「Something To Numb The Pain」を収録。プロデュースはArchitects、Blackpeaksでの仕事でお馴染みRobin AdamsとBlood YouthのギタリストChris Pritchard、エンジニア&ミックスは同じくRobin Adams、マスタリングはPeriphery、Architectsの仕事でお馴染みErmin Hamidovic。
Slipknotファンの方は勿論、Code Orange、Gojira、Humanity’s Last Breath、Veinなどが好きな人にオススメ!!
メンバー
・ Kaya Tarsus(カヤ・タルサス):Vocal → 今作を最後にKaya Tarsusは脱退。現在のVoはHarry Rule(ハリー・ルール)
・ Chris Pritchard(クリス・プリチャード):Guitar
・ Matt Hollinson(マット・ホリンソン):Bass
・ Brad Ratcliffe(ブラッド・ラトクリフ):Drums
楽曲紹介
01. a-LTX
02. Iron Lung
03. Something To Numb The Pain
04. Cells
05. Body of Wire
06. Colony3
07. Open Window
08. Synthetic
09. Human Blur
10. Kept In a Box
11. Dogma
#01 不気味に蠢く冒頭、断続的なリフと共に咆哮が響き渡る。静と動が交互に展開されるアレンジは期待感を煽る。冒頭に相応しい曲。
#02 不協和音系のリフから曲のノリを切り替える時に登場するCode Orange的な音加工アレンジが最高にクール。アトモスフェリックな雰囲気のサビが頭から離れない。儚げな鍵盤が響き渡る後半の展開が印象的!!「そうくるかっ」と思わず唸ってしまった。
#03 北欧メロデスを彷彿とさせるリフ。そこからの疾走パートがとにかくカッコ良い!!サビの哀愁あるメロディは1st、2ndあたりのSlipknotを彷彿とさせる。
#04 静けさと激しさの絶妙な押し引きが魅力的。ダークで冷たいパートはHumanity’s last BreathやAlice In Chainsからの影響が感じられる。奥行きのあるバンドサウンドはクセになりそう。
#05 Code Orange+Slipknotみたいな印象。ツーバス連打疾走パートはとにかくヘドバン2割増しで聴くべし!しゃくりあげる様に弾くギターはGojiraからの影響か?
#06 引き続きSlipknot要素強し。歌い方もかなりCoreyをトレースしてる部分があるので結構好き嫌いが分かれそう。僕は好きです!!
#07 北欧メロデスの匂いのするシンセが印象的なミドルナンバー。熱く歌い上げるサビメロは個人的に大好物。
#08 #7と同じく熱く歌い上げる系ナンバー!!冒頭から登場する分かりやすいキメフレーズがグイグイ曲を引っ張っていく!!最高にカッコいい!!
#09 ワウを使ったフレーズが印象的なナンバー。キャッチーな雰囲気のまま終わるかと思いきや唐突に3分過ぎから曲調が変わり出す・・・こういうの嫌いじゃない。
#10 Slipknotの初期曲「Prosthetics」とか「Scissors」のドロッとした世界観とNeurosis的な鬱々とした佇まを掛け合わせたような印象。静/動の押し引きが見事。ただ冷たいだけではなくて情緒がしっかり感じ取れるサウンド。
#11 冒頭のポストロック的な繊細なギターが心地よい。厭世的なポストメタル。丁寧に展開していくドラマチックな楽曲。ノスタルジーを感じさせるギターサウンドとメランコリックなシンセが絡み、悲しげな情景が丁寧に紡がれていく。最後にこの曲を聴けて良かった。
Hardcore, 音楽レビューAlice in Chains, ARCHITECTS, Blood Youth, Book Of Job, Chris Pritchard, Climates, code orange, Corey, Ermin Hamidovic, Humanity’s Last Breath, Kaya Tarsus, Nu Metal, Periphery, Robin Adams, Rude Records, Slipknot, Visions Of Another Hell
Posted by msysngn
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