White Stones「Dancing Into Oblivion」(2021)

Opethのベーシストが率いるデスメタルバンドの2ndアルバム。


OpethのベーシストMartín Méndez(マーティン・メンデス)率いるデスメタルバンドWhite Stones(ホワイト・ストーンズ)による2ndアルバム。今回も前作と同じく<Nuclear Blast>からのリリース。デビューアルバム「Kuarahy」以来、およそ1年ぶりのリリースとなります。

White Stonesは、モダンHR/HMのような音圧を前面に出した音ではなく、各々の楽器によるリフやコードの自然な響きを大事にしたオールドスクールなスタイル!!70sプログレッシブロックのインテリジェンスを感じるアレンジ、Opeth「Mornigrise」あたりを彷彿とさせるダークで深遠なフレーズ感、オールドスクールなデスメタルが持つダークでドロドロした音像が渾然一体となり聴くものを異次元に誘います!!今作は、デスメタルの大御所Deicideを始め、John Coltrane、Wilbur Harden等のJazz方面からも強く影響を受けたということで、悪魔的、宗教的な雰囲気であったり、フリージャズ的なドラムアプローチを要所要所で聴くことができます。COVID-19によるロックダウンの中、Live活動がいつ再開できるか分からないという絶望的な不安と、一方でツアーが無くなったことで得られた家族との暖かい時間。相反する感情が楽曲に反映され、コントラストの強いプログレッシブなアルバムとなっています。

メンバーラインナップが強化され、ドラマーにFACE THE MAYBEなどでも活動しているJoan Carles Marí Tur(ジョアン・カルレス・マリ・トゥル)、ギターソロは、以前からツアーメンバーとして参加してきたJoao Sasseti(ジョアオ・サッセティ)が担当。ミックス&マスタリングは、GhostParadise Lostとの仕事でお馴染み、Jaime Gómez Arellano(ハイメ・ゴメス・アレラーノ)が担当。各々の楽器の響きや分離感を重視したオールドスクールなスタイルを現代の音像で再現。Opeth、Soen、Riverside、Porcupine Treeなどが好きな人に強くオススメしたいです!!


メンバー

・Eloi Boucherie(エロイ・ボウシェリー): Vocal

・Martín Méndez(マーティン・メンデス):Bass、Guitar

・Joao Sasseti(ジョアオ・サッセティ):Guitar Solo

・Joan Carles Marí Tur(ジョアン・カルレス・マリ・トゥル):Drums

楽曲紹介

01. La menace

02. New age of dark

03. Chain of command

04.  Iron titans

05. Woven dream

06. To lie or to die

07. Freedom in captivity

08.  Acacia

#01 不穏なアンビエントミュージックからスタート。密教的な雰囲気が立ち込める危ない雰囲気。蛇足だがアレンジの端々にDIR EN GREY「Dum Spiro Spero」期の悪魔的なダークさを思い出させる。

#02 ドロドロとしたリフや音像はオールドスクールデスメタルに通じるものがある。

#03 一番最初に作った曲ということもあるだろうけど、このアルバムの核となるミドルナンバー。ダークなギターリフが全体のノリを作っていく中、アグレッシブなリフパートや不協和音パートなどが様々に展開していく。

#04 8分超えのプログナンバー。序盤のセクションでのゆったりとしたコード展開と裏で泳ぎ回るようなベースラインは初期Opethを思い出させる。Bloodbathあたりを彷彿とさせる激烈デスメタルパート、タメの効いたグルーヴィな展開など様々な表情を見せてくれる。後半は一転、バウンス気味な縦ノリパート!!(面白い!!)気づけば曲は最終局面へ。大ボス降臨的な大仰ともとれるコード進行の中、フリージャズを思わせる自由奔放なドラミングがとにかく印象的。各楽器がアドリブ的なアプローチをしながら大団円を迎える。

#05 70sプログロックの匂いのするインストナンバー。ジワジワと狂気が蝕んでいく・・・

#06 このアルバムの中では変わった毛色のナンバー。ニューメタル的なノリをバックにキャッチーな不協和音リフを中心とした変則的な2本のギターが活躍!!不協和音やリフの鋭利な響きに注目!!こういう、ジャンルに囚われないタイプの曲こそWhite Stonesらしい。

#07 冒頭のブルージーで深遠なギターの音色が印象的。後半2本のギターが絡み、獰猛なベースラインがうねる樣は最高にカッコいい!!

#08 サティのジムノペディ第1番の冒頭のフレーズを彷彿とさせるような小曲。たっぷりと間をとったギターコードの響きはどこか懐かしくもあり物悲しくもある。映画でいえばエンドロールが流れてくるようなイメージ。