Night Crowned「Hädanfärd」(2021)

2021年8月2日

スウェーデンのブラックメタルバンドによる2ndアルバム。


16年、スウェーデンで結成されたブラックメタルバンドNight Crowned(ナイト・クラウンド)20年のデビューアルバム「Impius Viam」以来1年ぶりのアルバム。今作も前作同様、<Noble Demon Records>(ノブル・デーモン ・レコーズ)からのリリース。

Cipher System、Dark Funeral、The Unguided等の元メンバー、現メンバーにより結成されたバンド。90年代のスカンジナビアシーンからの影響が強いメロディックデス/ブラックメタル。特にNaglfar、Dark Funeral等のブルータリティとDark Tranquillity、In Flamesあたりのスカンジナビアならではの泣きのメロディが仰々しいシンフォニックアレンジと絡めた、阿鼻叫喚の激烈デス/ブラックサウンドを聴かせてくれる。

今作は、前作「Impius Viam」のシンフォニック要素のあるメロディックデス/ブラックメタル路線をさらに推し進め、より洗練された印象。悲痛なまでのブルータリティとスカンジナビアシーン特有のメロディアスさが融合。特にトレモロ奏法を織り交ぜたメロディアスなツインギターの絡みや、クラシックからの影響が感じ取れるフレーズの重ね方など、様々なアレンジを聴くことができる。

またNight Crownedギター&ベースが在籍しているメロデスバンドCipher Systemも慟哭のスカンジナビアンサウンドを奏でているのでこちらも要チェック!!


メンバー

・ Ken Romlin(ケン・ロムリン)Vocal

・ Johan Eskilsson(ヨハン・エスキルソン):Guitar, Vocal

・ Henric Liljesand(ヘンリック・リリェサンド):Bass

・ Janne Jaloma(ヤンネ・ヤロマ):Drums

楽曲紹介

01.  Nattkrönt

02. Rex Tenebrae

03. Fjättrad

04. Ett Gravfäst Öde

05.  Hädanfärd

06. Gudars Skymning

07.  Människans Förfall

08. Grått & Ödelagt

09.  Enslingen

#01 雰囲気たっぷり、ゴシカルなピアノから怒涛のブラストビートで一気にアルバムの世界に引き込まれる。クサいフレーズ感や整った音像はDark Tranquillityを彷彿とさせる。

#02 大仰なシンフォニックアレンジとトレモロ奏法による音の壁が圧倒的な存在感を放つ。ブルータルな展開の中コーラスを織り交ぜたクリーンボーカルによるアプローチが入ることで曲が立体的に。プログメタル好きにもオススメ!!

#03 泣きのトレモロ奏法が思う存分楽しめる!!2本のギターで構築された悲壮感と暴虐性を兼ねそろえた泣きの旋律はお見事!!

#04 クサメロが過ぎる(褒めてます)冒頭からもはや様式美的な流れとなっている怒涛のブラストビート!!悲壮感たっぷりの流れから一転、この手の楽曲としては珍しい爽やかなコード進行によるサビが印象的。

#05 アコースティックギター2本によるインストナンバー。幽玄&深遠な世界観はOpeth、Soen、White Stonesあたりが好きな人は絶対好き。

#06 デスラッシュライクなリフが暴れ回る、殺傷力たっぷりなパートと悲壮感溢れるコード進行を中心にしたミドルパートが同居した奥深いナンバー。ついつい聴き入ってしまう。

#07 プリミティブなリズムをバックにスウェーデンらしいギターによる泣きのテーマフレーズが鳴り響き、メランコリックな世界観をきっちり提示。激烈なドラミングに様々なリフパターンで様々に展開。血を吐くようなスクリームや激烈ブラストがありながら、一方でシアトリカルなアレンジやトレモロ奏法によるメロディアスなアプローチを用いることで奥行きある作風に仕上がっている。

#08 #7と同じような路線の曲だが聴かせどころがちょっと分からないなぁという印象。セクションごとは各々良いんだけど繋げて聴いたところあまりメリハリを感じなかった。

#09 ブチギレた疾走感と悲嘆に暮れるような悲しみが共存した一曲。トレモロ奏法やコード感を大事にした2本のギターによる入り組んだ絡みは奥深く、圧倒される。