SYLOSIS「Cycle of Suffering」(2020)

2020年10月29日

イギリスはバークシャー州レディング出身のモダン・スラッシュバンドの5thアルバム。

00年、Vocals/GuitarsのJosh Middleton(ジョシュ・ミドルトン)とBassのCarl Parnell(カール・パーネル)によりイギリスはバークシャー州レディングで結成されたモダン・スラッシュバンドSYLOSIS(サイロシス)。07年に大手メタルレーベル<Nuclear Blast>と契約し、08年に「Conclusion of an Age」でデビュー。現在までに4作のスタジオ・アルバムをリリース。スタジオ・アルバムのリリースは、15年の4th「Dormant Heart」以来、通算5作目となる。今作は、バンドによるセルフプロデュースであり、マスタリングErmin HamidovicミックスをメンバーのJosh Middleton(Vo/Guitar)が担当した。

前回のリリース以降、ベーシストのCarl Parnellが脱退し、スラッジ /ドゥーム/プログレ /メタルコア系バンドCONJURERからConor Marshall(コナー・マーシャル)が加入。さらに16年、Architectsのリードギター担当のTom Searleが亡くなった関係で、以前からArchitectsと交流のあったJosh Middletonが17年からリードギターを担当。実質、Architectsのメンバーの一員として活動しているため、SYLOSISは事実上活動休止状態となっていた。なのでこうして素晴らしいアルバムを新たにリリースしてくれたSYLOSISには感謝だし、メンバー感の絆の様なものも感じられてどこか羨ましくもある。

前作「Dormant Heart」ではモダンなスラッシュ・メタルを基盤に北欧のメタル勢にも通じるデス/ドゥーム/プログレッシブなエッセンスを融合させた“じっくり聴かせる"タイプの作風だったが、今作は再び彼らのアグレッシブなスラッシュ要素を前面に押し出した作風となった。もちろん彼らのサウンド、一筋縄でいくわけがなく、モダンなスラッシュメタルを基盤にしつつ、その中で様々な展開、物語性を孕んだまさに"SYLOSISというジャンル"としか良いようない作風に仕上がっている。ベイエリア・スラッシュを彷彿とさせるオールドスクールなリフとモダンなサウンドからは、力強い信念が感じ取れる。


メンバー

・ Josh Middleton(ジョシュ・ミドルトン):Vocals/Guitars

・ Alex Bailey(アレックス・ベイリー) :Guitars

・ Conor Marshall(コナー・マーシャル) :Bass

・ Ali Richar(アリ・リチャードソン):Drums

楽曲紹介

01. Empty Prophets

02. I Sever

03. Cycle of Suffering

04. Shield

05. Calcified

06. Invidia

07. Idle Hands

08. Apex of Disdain

09. Arms Like a Noose

10. Devils in Their Eyes

11. Disintegrate

12. Abandon

#1 ドラムフレーズが印象的な曲。スラッシーなリフを盛り込みながらも重心のブレないオールドスクールなリフからは、重々しい風格のようなものを感じさせる。 

#2 幽玄なアコースティックサウンドから一転、Soilworkの名曲「The Chainheart Machine」がどうしても頭をかすめてしまうスラッシーなリフがエンジン全開で切り込んでくる!荒々しくも何処か神々しさを感じさせる。

#3 疾走感がありながらもタメのきいたグルーヴィーなリフが楽曲をグイグイ引っ張っていく。終盤、どこか哀愁を感じさせるコード進行→天に登るようなギターソロ!!が攻撃性のみに偏りがちなこの手の楽曲に彩りを添えている。

#4 特段真新しくないし、スラッシュ・メタルでは常套手段だけど、イントロのリフだけになる部分・・・最高!!このスラッシュ・メタル独自の疾走感とサビと思われる部分の浮遊感あるメロウなフレーズが上手いこと同居し、楽曲に立体感を与えている。

#5 北欧メロデス勢からの影響が感じ取れる楽曲。疾走パートはありつつも重心を低くしたどっしりとした印象。一気に異世界に誘われる終盤に登場するテクニカルなギターソロには圧倒される。

#6 ブルータリティを感じさせる冒頭から刻む刻むひたすら刻むギターパートを経てシンガロングできるサビ!!そして宇宙へ誘われるテクニカルなギターソロと言うことない!!TEPPAN楽曲!!

#7 メロウな歌を主軸においたヘヴィな楽曲。終盤に登場する情景がみえるようなコード進行やギターソロが最高に渋カッコいいので聴いてほしい。

#8 アグレッション全開のリフで幕を開ける一曲。攻め一辺倒ではない緩急織り交ぜたアレンジは、長年培ってきた経験値を感じる。まあとにかくカッコいい!!

#9 深淵なるアコースティックパートからの怒涛のメタルコアパート。とにかく刻む刻む!!「触るものみな傷つけた」じゃ済まない「触るものみな切り刻んだ」状態!!大殺戮の様相を呈しております!!再びアコースティックパートが登場するなど、収録楽曲のなかでもプログレッシブな質感の強い楽曲だ。

#10 ハードコア色の強い疾走感!!疾走するリフはKsEを彷彿とさせる。コード進行からは初期ポストハードコアを思わせる部分も感じ取れる。

#11 禍々しいイントロの雰囲気から静かに熱いギターフレーズへの流れがとにかくカッコいい!!様々に変化していく楽曲からは音楽的な懐の深さを感じる。

#12 荘厳なピアノの音色が響き渡る。OpethやらKatatoniaのような深淵な世界観がSYLOSISサウンドと上手くマッチしていると思う。前作あたりからその片鱗は見せていたけど・・・やはり今後こういったダークなサウンドが聴けるということなのか??個人的には大歓迎である!鬼気迫るシャウトとこの世ならざる幽玄なサウンドとの組み合わせがまた面白い。

実際、今後どういった活動をしていくのか分からない部分はあるが、彼らのバンドへの熱い想いが感じ取れるアルバムなので是非とも多くの人に聴いてもらいたい。そして今後、どういった活動の仕方になるのか??今のまま、Josh MiddletonはArchitectsを主軸に活動していくのか?逐一彼らの活動をチェックしていきたいと思う。