Wiegedood「There’s Always Blood At The End Of The Road」(2022)

ベルギーのブラックメタルバンドによる4thアルバム。

アートワークはMaxime Brigou(マキシム・ブリゴウ)が担当!!

ベルギーのブラックメタルバンドWiegedood(ヴィーガドゥード)。18年以来4年ぶりのリリースとなる今作「There’s Always Blood At The End Of The Road」は、1st〜前作の3rdまでの3部作の世界観から離れた最初の作品となる。<Century Media Recordsからリリース。

14年にベルギー出身のLevy Seynaeve(Amenra、Oathbreaker)とWim CoppersGilles Demolder(どちらもOathbreaker)によって結成。15年にデビューアルバム「De doden hebben het goed」を発表。「邪悪な音楽性」と「強い喪失感」を身に纏い、過激なライヴパフォーマンスで注目を集める。その後、「De Doden Hebben Het Goed II」「De Doden Hebben Het Goed III」と2作品をリリースし、バンド独自の強い世界観を世の中に知らしめる。

「DE DODEN HEBBEN HET GOED」3部作は、友人の死による悲しみや苦しみ、大きな喪失感などが描かれていたが、今作「There’s Always Blood At The End Of The Road」は、そこから立ち上がり、前に進んでいくことを意識した内容となった。それに伴い、3部作に通底していた閉塞感や凍えるような冷たさから解き放たれ、いい意味での”分かりやすさ”が前面に出た作品となったと思う。特にハードコア由来なのか?リフワークのミニマルな展開ゆえに殺傷力に磨きがかかり、同時にグルーヴィでタフなバンドサウンドを形作っている。そして今まで培われてきたトレモロ奏法による激情サウンドも洗練され、より奥行きのある音像を聴かせてくれている。

Wiegedoodが属しているサークルChurch of Ra Collctiveの所属バンド(AMENRA、Oathbreaker、The Black Heart Rebellionなど)が好きな人は勿論、Wolves in the Throne Room、Ulthaあたりが好きな人、ポストハードコア、ブラッケンドハードコア、スラッジコア等を聴く人にもオススメしたい!!


メンバー

・ Levy Seynaeve (レビー・セイネーヴ) :Vocals/Guitars

・ Gilles Demolder(ジル・デモルダー) :Guitars

・ Wim Sreppoc (ヴィム・コッパーズ) :Drums

楽曲紹介

01. FN SCAR 16

02. And in Old Salamano’s Room, the Dog Whimpered Softly

03. Noblesse Oblige Richesse Oblige

04. Until It Is Not

05. Now Will Always Be

06. Wade

07. Nuagess

08. Theft and Begging

09. Carousel

#1 イントロの強烈なキメだけで今年の上半期ベストにランキング確定のこの曲。激烈な疾走感とカオティックな雰囲気をここまで生々しく表現できるとは!!切迫感を感じさせるミニマルなフレーズがとにかく素晴らしい!!

#2 勢いというより得体の知れない奥行きを感じさせる。終盤登場する、まるで許しを請うような男性による話し声が不気味さを醸し出している。

#3 リフというよりはコード感を全面に出したフレーズが印象的な楽曲。激烈な高速ビートをバックに厭世観漂う悪魔的なフレーズがゆったりと漂う。終盤の破壊的な音像がとにかくクール!!

#4 ミニマルなトレモロリフによるプリミティブな魅力はありつつも、展開に次ぐ展開や細かく仕掛けられているフックとなるリフアプローチが聴くものを飽きさせない。

#5 8分越えと作品の中では長尺の部類。密教的な雰囲気から怒涛の疾走感チューンへ。追いかけてくるようなブラストビートと攻撃的かつ中毒性のあるリフがクセになる!!次々に展開していくタイプの曲ではなく、ゆっくり形を変えながらズルズル聴く者を引き摺り込んでいくスタイル!!ホーミーのような発声法が危ない空気を作り出している。

#6 インタールード的な小曲。同じベルギー出身のジャズギタリストDjango Reinhardの曲「Nuages」をサンプリング。ここから同名タイトル#7へ繋げていく展開は思わずニヤリ。

#7 よくよく聴くとギターフレーズがDjango Reinhardの曲「Nuages」から引用されているが、Django Reinhardへのオマージュということらしい。最高!!苛烈な疾走チューン!!終盤のヘロヘロな泣き声、叫び声の後味の悪さが素晴らしい!!

#8 激烈高速チューンが間断無く食い込んでくる!!かと思うと厭世観たっぷりなミドルパートがじわじわと効いてくる。Neurosisあたりを彷彿とさせる。

#9 冒頭からブルータリティな美学をビンビンに感じさせるギターリフが炸裂!!展開としては至ってシンプルだがそのミニマルな作りこそが最も攻撃的だったりする。プリミティブな狂気とハードコアやデスメタルの攻撃性がガッツリ手を組んだ名曲!!