Playgrounded「THE DEATH OF DEATH」(2022)

2022年4月4日

ギリシャのプログレッシヴ・メタルバンドによる2作目フルレングスアルバム。

アートワークはIsmini Christakopoulou (イズミ二・クリスタコプーロウ)が担当!!

5年ぶりとなるアルバムです。Pelagic Recordsからのリリース。

07年にギリシャのハニアでOdisseas Zafeiriou(オディッセアス・ザフェイリオ)(Ba)、Orestis Zafeiriou(オレスティス・ザフェイリオ)(Key)、Michael Kotsirakis (マイケル・コチラキス)(Gt)によって結成!!その後、Stavros Markonis(スタブロス・マルコニス)(Vo)とGiorgos Pouliasis (イヨルゴス・プリアシス)(Dr)が加わり、現在のラインナップに!!現在はロッテルダムで過ごしています。

初期のPlaygrounded(プレイグラウンデッド)は、ニューメタル、ポストハードコアの要素を感じさせるプログ・メタルといった感じでしたが、その後リリースした1stアルバム「In Time With Gravity」(17)では、電子音を大幅に導入!!それに伴いアルバム全体に流れる空気も、Nine Inch NailsDepeche Modeを思わせるダークでシリアスな質感に。細かいシンセフレーズをループさせ、不穏な空気を煽るようなアレンジが多用されているのが印象的です。

そんな前作から5年を経てリリースされた今作「The Death Of Death」は、「In Time With Gravity」以上にヘヴィ!!と共にそこに広がるのはただヘヴィなだけではない、緻密に計算、整理された音が有機的に絡み合う、凄まじい情報量で満たされた空間です。ドラムとベースによるToolを彷彿とさせる強靭なグルーヴが中核となり、電子音が曲の世界を彩り、ギターのヘヴィリフが色を加えていきます。また今作は、前作のNine Inch Nails要素の強いインダストリアルサウンドではなく、よりエレクトロニカ寄りのグリッチノイズを多用。映像を喚起させるような繊細なサウンドを作り上げています。一方でヘヴィなところはよりヘヴィに!!SoenKatatoniaあたりにも通じる漆黒の音像が迫ってきます。

レコーディングは、ボーカルのStavros Markonisの映画音楽仕事で一緒に取り組んできたNikos Michalodimitrakis、ミキシングは、Christer André Cederberg(Leprous、Anathema、Shiningなど)、マスタリングはGeorge Tanderø(Madrugada、Satyricon、Jaga Jazzistなど)が手がけた。

Deftones、Katatonia、The Ocean、RiverSide、Tool、映画音楽など、ドラマティックで、聴いていて絵が思い浮かぶようなサウンドが好きな人に特にオススメしたいアルバムです!!


メンバー

Stavros Markonis(スタブロス・マルコニス):Vocals

Michael Kotsirakis (マイケル・コチラキス):Guitar

Orestis Zafeiriou(オレスティス・ザフェイリオ):keyboards

Odisseas Zafeiriou(オディッセアス・ザフェイリオ):Bass

Giorgos Pouliasis (イヨルゴス・プリアシス):Drums

楽曲紹介

1. The Swan

2. Rituals 

3. The Death of Death

4. Tomorrow’s Rainbow 

5. A Road Out of the Flood

6. Our Fire

#01 うねるベースラインがサウンドを引っ張る中、エレクトロニカ風電子音が小気味良くも不穏な空気を作っていきます。要所要所で発動するヘヴィなギターサウンドはリフというよりもコードで楽曲に色を加えていきます。

#02 低音域を徘徊する電子音のバックで、ヘヴィなリズム隊が起伏をつけていく。特に繊細なドラミングは圧巻。余計なことは考えずに濁流のような勢いに身を任せてみてください。

#03 タイトル曲。冒頭のノイズから気付けば漆黒の世界に。抑え気味な歌とパーカッシブなリズム隊が静かに動き出す中、虫の鳴き声のようなノイズが確実に緊張感を煽ります。Meshuggahを思わせる抉るようなジェントリフは黙ってヘドバン案件です!!7分超と比較的長尺だが全く長さを感じません。

#04 この曲に関しては、序盤のベースリフ→楽曲の奥行きを感じさせる電子音発動!!の流れにとにかく舌を巻きます。地を這うような低音域から都市を形作るベース&ドラム、歌が入り、さらに電子音が入ることで不穏な空気渦巻く景色が徐々に見えてきます。映像が見えてくるような音の重ね方に彼らのインテリジェンスを感じます。

#05 リズム隊が同じフレーズをループすることで、知らぬ間にグルーヴ沼に引き摺り込まれています。Toolのような中毒性あり。電子音を交えた細やかなアレンジからは高い芸術性を感じさせます。

#06 浮遊感と地を這うようなヘヴィネス、そしてエレクトロニカ風電子音が様々に重なり合い、徐々に全体像が露わになっていきます。芯がありながらもどこか儚い印象を抱かせる低く伸びやかな歌声が、素晴らしい存在感を放っています。