Vola「Witness」(2021)

デンマークのプログ・メタルバンドの3rdアルバム。

アートワーク:絵はGregor Huber(グレゴール・ヒューバー)の「The Eye」。
レイアウトはRoy Kochが(ロイ・コッホ)が担当!!

06年結成されたデンマークコペンハーゲン出身のプログ・メタルバンドVola(ヴォラ)18年の2ndアルバム「Applause of a Distant Crowd 」以来4年ぶり3作目。今回は、<Mascot Records>(マスコット・レコーズ)からのリリース。

過去には、KATATONIAHAKENのサポートを務めた経験を持つ、プログ・メタルの期待の星。数多のメンバー交代があったが、17年、DrumsがFlix EwertからAdam Janzi(アダム・ジャンジ)に交代したことを最後に以後、メンバーは固定し、現在に至る。プログ・メタルとは言ってもテクニカルなスキルの応酬みたいスタイルではなく、エレクトロ、HipHop、ニュー・ウェイブ、メタルコアなど様々な要素を自由に取り入れたオリジナリティのあるサウンドを鳴らしている。特にDjentリフとエレクトロが見事に融合した、洗練されたクールなプログ・メタルサウンドは、既存の枠には収まらない大きな可能性を感じさせる。また、David Sylvianを彷彿とさせる低音域の豊かなボーカルスタイルやメランコリックなフレーズセンスは、ニュー・ウェイブからの色濃い影響を感じさせる。

今作「Witness」(ウィットネス)は、バンドのセルフプロデュース。ミックス/マスタリングは、VOLBEATAMARANTHEとの仕事でもお馴染み、グラミー賞ノミネート歴のある名手Jacob Jensen(ヤコブ・ハンセン)を起用!!美しいメロディとヘヴィなリフ、躍動的なバンドサウンドと計算し尽くされたエレクトロニックなサウンドが同居。多層的なサウンドスケープに圧倒されること間違い無し!!

彼らがルーツとしてあげているSteven WilsonPorcupine Tree、Opethなどが好きな人はもちろん、ニュー・ウェイブ由来の耽美的な要素を感じさせるという意味で、DeftonesFour Stroke Baronなどが好きな人にもオススメしたい。


メンバー

・ Asger Mygind(アスガー・ミギンド)Vocal/Guitar

・ Martin Werner(マーティン・ウェルナー):Keyboards

・ Nicolai Mogensen(ニコライ・モーゲンセン):Bass

・ Adam Janzi(アダム・ジャンジ):Drums

楽曲紹介

01. Straight Lines

02. Head Mounted Sideways

03. 24 Light-Years

04. These Black Claws (feat. SHAHMEN)

05. Freak

06. Napalm

07. Future Bird

08. Stone Leader Falling Down

09. Inside Your Fur

#01 冒頭からフューチャリスティックな効果音と共に敷き詰めるような重低Djentリフが勢いよく暴れ回る。厳ついバンドサウンドとポップな歌メロ!!決して甘くなりすぎない絶妙なサジ加減!間違いない!

#02 冒頭からSepulturaを彷彿とさせる躍動的な野生剥き出しビートが迫り来る。Cynicライクなロボ声との意外な組み合わせは面白い!!要所要所はしっかりリフでキメてくるが、そこよりも濁流のように流れていく美麗なコード感が魅力的!!

#03 グリッチ音が心地よいエレクトロニカ系の音からスタート。歌を主軸に、必要なものだけを残した無駄のないアレンジ。それだけに、ギターの抜き差し等の細かいアレンジの変化がより楽しめる。

#04 ダークで奇妙なトラックが印象的な#4 。バンドサウンドではなく完全打ち込みのHipHopトラック+轟音バンドサウンドといった形。中盤からはShahmenが登場。曲の重厚、荘厳な雰囲気にあったラップを披露している。

#05 #4のダークなヘヴィな世界観から一転、解放されたかのような清々しさが感じられる#5。エヴァーグリーンな雰囲気はひたすらに心地よい。プログ・メタルなんて範疇からは、とうに逸脱した楽曲。それが良いのだ!!

#06 細かくアクセントをつけていくヘヴィリフとメランコリックな歌のメロが印象的な曲。グルーヴィーなノリと輪郭の曖昧なメランコリーが同居した不思議な世界観。Four Stroke Baronあたりが好きな人は絶対オススメ!!

#07 #6同様ヘヴィ&メランコリックな方向性でしっかり作り込まれた曲。ベースラインが全面に出てくるだけに欲を言えばもう少しバキバキな存在感ある音だと尚良かったのでは?と思ってしまった。

#08 変則的なギターリフ〜サビの輪郭の曖昧な、包み込まれるような音像はどこを切り取ってもカッコいいの一言。とにかくこの曲に関しては陰りのある歌メロが好き!!

#09 曲終盤のコーラスが延々繰り返されるくる中、気付けばシューゲイザを感じさせるギターノイズの渦に巻き込まれている自分がいる。ひたすらに心地良いサウンド。