Luna’s Call「Void」(2020)

2020年11月26日

イギリスはリンカーン出身のプログレッシブ・デス・メタルバンドの2ndアルバム。

アートワークはIan Purdyが担当!!

リンカーンを拠点とするプログレッシブ・デス・メタルバンドLuna’s Call(ルナズ・コール)前作から2年ぶりの自主リリースによる2ndアルバム。16年のデビューアルバム「Divinity」が注目され、18にはBloodstockにて、Hundred Year OldmanCognitiveなどをサポートするなど、英国全体で着実にファンベースを築き上げつつある彼ら。

今作「Void」は、前作と別バンドか?と思うほどに飛躍的にサウンドが洗練され、Luna’s Callが本来、表現したかったサウンドや世界観がうまく形になったのではないだろうか。彼らの今作のミックス&マスタリングは、Napalm DeathAt the Gatesなどを手がけたRuss Russell!!異空間に迷い込むような奥行きのあるサウンドスケープとブルータルなプログレ・デス・サウンドが絡み合う、独創的なサウンドを我々に提示してくれる。また、このアルバムが「宇宙から見た地球の環境破壊」というコンセプトなのでアルバムを通して壮大な宇宙空間を感じさせるサウンドを随所で聴くことができる。

プログレッシブ・デスメタル時代のOpethPorcupine Tree、Steven Wilson周辺の作品群、60’s,70’sのプログレッシブ・ロックのファンの方にはぜひ聴いてもらいたい!!


メンバー

・ Neil Purdy(ニール・パーディ) :Vocal/Guitar

・ Brad Laver(ブラッド・レーバー) :Bass/Vocal

・ Liam Underdown(リアム・アンダーダウン) :Guitar

・ Jamie Batt(ジェイミー・バット) :Drums/Vocal

楽曲紹介

01. Merced’s Footsteps

02. Signs

03. Solar Immolation

04. Enceladus&the Life Inside

05. Locus

06. In Bile They Bathe

07. Silverfish

08. Fly Further Cosmonaut

#1 冒頭の大仰なコーラスとバンドサウンドが聴くものを一気に宇宙の彼方へと誘う。間を生かしたドラミング と壮大なコーラスが印象的。後半はOpethMikaelを彷彿とさせる極悪グロウルが炸裂。メロディアスな単音リフなどもOpethを思い出させる。

#2 ・メロディアスかつスラッシーなリフがスピーディーに展開していく。8、16のノリを行き来し、細かい起伏をつけながら楽曲は突き進む。オーケストラと絡む大仰なテーマフレーズはお見事!!2本のギターが弦楽隊のようなアプローチで絡み合いながら丁寧にドラマチックな世界観を紡いでいく。徐々に煽るような形で大きな流れは一旦収束。
・シタール的なサウンドと共にここまでの文脈を無視するかのような唐突のCynic的ヴォコーダー挿入!!メロトロンを経て、目の前には幾多のギャラクシーが!!まるで#1の回収!!と言わんばかりに宇宙的な空間に放り投げられる。散々に漂った挙句、前半のオーケストラと一体となったスピーディーかつスラッシーな流れに身を任せ、楽曲は唐突に収束を見せるのである。

#3 スラッシーかつヘヴィなリフをベースに目まぐるしく展開していく様は圧巻。テクニカルかつメロディアスなギターソロは聴くものを異次元に誘う。基本的にグロウルで攻めたてるスタイルだが、節々に登場するクリーンボイスに静かな狂気を感じる。終盤のスペーシーなパートはどことなくクラウトロック由来のサイケ感を感じる。そこから徐々に熱を帯びていき、鍵盤、ギター、ベースが緻密に絡む様はDream Theaterを彷彿とさせる。フックとなる変態的なアレンジはご愛嬌。大仰なオーケストレーションを経て、冒頭のパートにも似たスラッシーなリフパート!!異常なほどの安定感と落ち着き払ったクリーンボイス、さらに宇宙的な効果音が響き渡り静かな狂気性に拍車をかけていく。

#4 バロックタイプのギターによる幽玄なアンサンブルが美しい。コーラスからシンセへのシームレスな繋ぎ方に細かい拘りを感じさせる。オーケストラによる悲しくも美しい音色の世界にただただ没入してしまう。

#5 間を生かしたアレンジと英国風で牧歌的なコーラスメロディが印象的な楽曲。途中からオーケストラアレンジも織り交ぜた壮大なメロデスパートへ。スラッシーなリフとシンセの緻密な絡み方はDream Theaterが頭をかすめる。

#6 流麗でメロディアスなリフは「Blackwater park」あたりのOpethを思い出す。切れ味鋭いスラッシーなリフを中心に、テクデス的なアプローチやオーケストラとの絡みなど場面場面で細かくスピーディーに展開していく。

#7 2本のブルージーな音色のギターサウンドが幻想的な世界観を作り上げる。どことなくKing Crimsonの「Moonchild」を彷彿とさせる。小曲ながら妙に存在感のある曲。

#8 Opethの「Ghost Reveries」的な匂いを漂わせるリフを始め、IhsahnEmperor、Porcupine Tree、Enslaved、King Crimsonなどの要素を感じ取れるパートが随所に散りばめられた9分弱の宇宙旅行。オーケストラも織り交ぜた壮大なコスモとブルータリティが上手い具合に共存した世界観は、プログレッシブ・メタル /デス・メタル両方のファンに受け入れられるだろう!!