Aoife Nessa Frances「Land of No Junction」(2020)
ダブリン在住の女性SSWのデビューアルバム。
Aoife Nessa Frances(イーファ・ネッサ・フランシズ)は、ダブリン出身の女性SSW。Julie Byrne、Jim GhediをリリースするUKの<Basin Rock>よりデビューアルバムをリリース。
アコギ、ストリングス、パーカッション、キーボードなどによる70sSSW風味なアコースティックなアンサンブルをバックに、StereolabやBroadcastの雰囲気も感じさせるサイケでドリーミー、ちょっとだけクラウトロックみも覗かせるフォーキーなポップサウンドとなっている。また、いくつかの曲で使われているメロトロンが印象的で、どこか幻想的かつノスタルジックな味わいは今回のアルバムの世界感作りに大きく貢献していると思う。共同プロデューサーとして、Woodistからのソロ作をリリースしているCian Nugentが参加。
正直、どちらかというと地味である。しかし良質な楽曲ばかりである。今までの体験からいうと、かつてAndy Shaufの「The Party」というアルバムを聴いた時の感覚に近い。”盛り上がるサビ”とか、”分かりやすい起承転結”とか、”奇をてらった展開”とか、”迫力ある音圧”とか・・・そんなものはないけれど、「あっいいなこの曲」って何回でも聴きたくなる曲が詰まってる!!また、どこか素朴な音像であったり、若干の気だるさという部分でアルゼンチン音響派の重要人物Juana Molina、ウェールズのエクスペリメンタルSSW、Cate Le Bonといった女性ミュージシャンとも共鳴している。
メンバー
・Aoife Nessa Frances(イーファ・ネッサ・フランシス)
楽曲紹介
01. Geranium
02. Blow Up
03. Here In The Dark
04. A Long Dress
05. Less Is More
06. Libra
07. In The End
08. Heartbreak
09. Land Of No Junction
#01 現代版Young Marble Giantsのような趣の一曲目。味わいのある古いリズムボックスの音がなんとも可愛いらしい。
#2 ギターによる弾き語りからパーカッションやらメロトロン、ストリングス、シェイカーといった様々な楽器の音を少しずつ重ねていくことで、まるでキャンバスに少しづつ色を塗り重ねていくように曲の世界がちょっとずづ露わになる。
#3 Andy Shaufにも通じる音の世界観。ストリングスをはじめとする様々な楽器を駆使し、程よく豪華な雰囲気を醸し出している。
#4 メロトロンにより奏でられるどこか異世界に迷い込んでしまうような怪しげな音。
#5 #4の音が微かに鳴っている中、始まる。StereolabだとかBroadcastを彷彿とさせるサイケドリームポップ。
#6 Cloudberry Jamをもう少し大人っぽくさせたようなサイケポップ。どこか陰りが付きまとっているポップさというのもまた堪らないものがある。
#7 前に紹介したサイケポップバンドCrumbにも通じる、サイケデリック感と、良い意味で突き抜けない微妙にローが入ったテンションがカッコいい。
#8 とにかく歌のメロディが好きだ!!Stereolab〜bloadcast〜Pramラインの歌の雰囲気、Elliot Smithのようなメランコリアも感じさせる、陰りのあるポップス。何度でも聴きたい。
#9 メロトロンが涙腺を刺激しやがる!!サイケドリームポップ。夢と現実を行き来するような不思議な音像とメランコリックなメロディが癖になる。
デビューアルバムとは思えないほど、良曲揃いの作品。今後、どのような曲を聴かせてくれるのか楽しみだ。実は、プログレファンにも十分アピールできると思うがどうだろうか??メロトロン好きは絶対に聴いてほしい。
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