Make Them Suffer「How to Survive a Funeral」(2020)

2020年10月29日

オーストラリア出身のポスト・ハードコアバンドの4thアルバム。


Make Them Suffer(メイク・ゼム・サファー)は、08年結成のオーストラリア出身のポスト・ハードコアバンド。音楽的に様々なバックボーンを持つメンバーが集まっているため、その時々で大きく音楽性が変化してきた。シンフォブラックや、デスコアからの影響が強い1st&2ndアルバム。そこから前作の3rdアルバムでガラリとポスト・ハードコア/Djent的な音楽性にシフト。今作は、ポスト・ハードコア/Djent路線に彼らが元々持ち合わせていた攻撃性を融合させたサウンドとなっており、最近ファンになった人はもちろん、初期のブルータルな作風が好きだった人にも十分アピールできる内容だと思う。

彼らは、12年に<Roadrunner Records>と契約し、シンフォブラック/デスコアからの影響が強い、初期作「Neverbloom」「Old Souls」をリリース。その後、バンドは16年、<Rise Records>と契約し、17年には、ポスト・ハードコアに大きく舵を切った3rdアルバム「Worlds Apart」をリリース。
17年6月9日、Chris Arias-Real、Lachlan Monty、およびLouisa Burtonがバンドからの離脱を発表し、新しいベーシストとしてJaya Jeffery(ジャーヤ・ジェフリー)が、キーボード奏者/クリーンボーカルとしてBooka Nile(ブーカ・ナイル)の加入が発表された。

18年には、Crystal Lake主催の「TRUE NORTH FESTIVAL 2018」並びにMHz FEST主催でのJapan Tourにて、初来日を果たしている。


メンバー

・ Sean Harmanis(シーン・ハーマニス):Lead Vocals

・ Nick McLernon(ニック・マクラーノン) :Lead Guitar/Backing Vocal

・ Booka Nile(ブーカ・ナイル):Keyboards/Clean Vocals

・ Jaya Jeffery(ジャーヤ・ジェフリー) :Bass

・ Jordan Mather (ジョーダン・メイザー):Drums

楽曲紹介

01. Step One

02. Falling Ashes

03. Bones

04. Drown With Me

05. Erase Me

06. Soul Decay

07. Fake Your Own Death

08. How to Survive a Funeral

09. The Attendant

10. That’s Just Life

#1 静寂の中、響き渡る2本のギターによるアルペジオが徐々に情景を作り上げていく。唐突なスクリームからタイトかつヘヴィなバンドサウンドに雪崩れ込む。 

#2 #1ノイズから時空の彼方に飛ばされてしまいそうな、唐突に暴走するブラストビートがなんとも凄まじい初期のブルータルな作風を彷彿とさせる展開に思わず、ニヤリ。ただ暴走パートで、もう少し構築したリフを聴いてみたかったな・・と思ったのも事実。

#3 Panteraを思わせるリフが印象的なミドル曲。途中からノリがカッチリモードに切り替わりピアノの音が印象的な澄んだメロディックなサビへと展開していく。一つの楽曲の中でコロコロとノリが変わる非常に難易度の高い楽曲。

#4 地を這うような禍々しい重低音リフとサビの透き通るような歌声、という正反対の要素が一曲の中で自然に共存している。彼らの音楽的な懐の広さと表現力が前面に出た素晴らしい楽曲。

#5 なんとなくブラックゲイズからの影響を感じさせる冒頭。強烈なブラストビートと慟哭の叫びが響き渡り、さらにまるで天からの贈り物のように透き通った歌声が響き渡る。

#6 Korn等のニューメタルを連想させる。ギターによる装飾的な不穏な音色が印象的!!

#7 壊れたFAXみたいな音からグルーヴィでヘヴィなバンドサウンドをぶっこんでくる。リフワークにはどこかPanteraからの影響を感じる。

#8 これまたニューメタル的な不穏な音がとにかくバカカッコ良い。そこから女性Voによる今にも天に召されそうな雰囲気のVocalパートへの展開。非常に多幸感あふれるピアノの音色など、一曲の中での振り幅が異様に広い凄まじい楽曲。

#9 浮遊感あるポスト・ハードコア。内に向かうような楽曲ながら微かな光が差してくる様な希望に溢れた楽曲。ボーカルの重ね方やループするピアノの音色がなんともメランコリックで、何度でも聴きたくなる楽曲。

#10 ギターの細かいフレーズの動きが職人的でカッコ良い。ヘヴィかつタイトなリフから唐突に透明感あるコーラスが印象的な女性Voパートへ展開していく部分がとても印象的。また終始細かいギターの動きが聴けるのでギターキッズが喜びそうな1曲でもある。

前作は思い切り舵を切ったものの、どこか散漫な印象を受けたが、今作は、彼らの持ち味であるアグレッシブな面を、彼らなりの最新の表現方法でしっかり表現し切っているように感じた。また、美醜のコントラストがしっかり効いた、奥行きのある楽曲は、プログレッシブな音楽が好きな人にもオススメしたい。もはや、音楽性の変化が持ち味の一つでもあるMake Them Suffer。今後、どういった音楽を作ってくれるのか?今後もチェックしていきたいと思う。