Currents「The Way It Ends」(2020)

2020年10月29日

コネチカット州出身プログレッシブ・メタルコアバンドの3rdアルバム。


11年にコネチカット州のフェアフィールドで結成されたプログレッシブ・メタルコアバンドCurrents(カレンツ)。数多のメンバーチェンジ後、現在のラインナップになる。

13年、デビューEP「Victimized」をリリース。15年、デビューアルバム「Life-Lost」をリリース。このアルバムはThis Or The ApocalypseRicky Armellinoがゲストミュージシャンとして参加。17年3月の初めに、バンドは<SharpTone Records>と契約し、同年6月に2ndアルバム「The Place I Feel Safest」<SharpTone Records>からリリース。

その後、18年初めに、CurrentsMiss May Iのサポートとしてヨーロッパツアーを、18年5月3日から25日まで、Born of OsirisFit for a kingのオープニングアクトとして米国ツアーをまわった。

Currentsは、テクニカルなフレーズをさらりとキメてくるし、Djentリフもガンガンかましてくるが、彼らの持ち味は頭1つ抜きんでた”叙情的なメロディ"と”しっかり聴かせる楽曲”だ。今回のアルバムで言えば、世界観を大事にした若干のゴシック要素を感じる#6DeftonesやポストハードコアのThrice、近いところではLoatheあたりにも通じる、内面を表現した#10や#11といった楽曲!!攻め曲一辺倒じゃなくて聴かせる楽曲が入ることで、過去作以上に、アルバムに深みを与えているように思う。


メンバー

・ Brian Wille(ブライアン・ウィル):Vocals

・ Chris Wiseman(クリス・ワイズマン) :Guitar

・ Ryan Castaldi(ライアン・カスタルディ):Guitar

・ Dee Cronkite(ディー・クロンカイト) :Bass

・ Jeff Brown(ジェフ・ブラウン):Drums

楽曲紹介

01. Never There

02. A Flag to Wave

03. Poverty of Self

04. Monsters

05. Kill the Ache

06. Let Me Leave

07. Origin

08. Split

09. Second Skin

10. How I Fall Apart

11. Better Days

#1 マイナー系のアルペジオ、そしてピアノの印象的なフレーズが静寂に響き渡る中、緊張感を切り裂くような痛切な叫びがこだまする。

#2 バスドラ+リフによる重低音の集中砲火が放たれる。ここでノリが切り替わりシャウトと共に本編スタートといったところか。ニューメタル風のタメを生かした跳ねるビートからブラストビートを混ぜ込んで、さらりとデスメタル風パートをこなす等、様々な表情を見せてくれる。

#3 ニューメタル的な「Jump!Jump!」な雰囲気も若干感じさせながらも、そこまでキッズに寄り添ってない笑 live映えするような楽曲というよりはもう少し内面にこもるような印象を抱く楽曲。

#4 アグレッション全開の冒頭からディレイの効いた抑制されたパート、ギターによる効果音的不協和音など、うっすら漂う宇宙的アトモスフィアと攻撃性が同居する楽曲。後半に登場するアツいギターソロは必聴!!

#5 アトモス的雰囲気を引き継ぎ、マイナー系のフワッとしたフレーズにDjentリフ。浮遊感とガッツリヘヴィリフのダブルパンチたまらん!もうドロリと鼻血もんですよ。

#6 メランコリックなギターアルペジオが響き渡る中、歌とリズム隊が入り、曲の世界観が進む。まるで森の奥深くへ誘われているかのような、物語性を感じさせる楽曲。なんとなくゴスな雰囲気も感じる。

#7 New Wave感のあるイントロが印象的。#6の雰囲気を若干感じさせる。歌がより映えるようなアレンジとなっており、ヘヴィなパートの押し引きの具合が絶妙!!流石!!

#8 這い回るようなヘヴィなリフから浮遊感あるパートへの流れ、そこからスラッシーなリフへと移行する部分!!もうこの一連の流れ!!最高すぎやしませんか??ひたすらに気持ち良い!!

#9 この跳ねるようなノリはlive映え間違いなし!!突き抜けるようなサビがなんとも印象的。ある意味大味のノリとはまた正反対のテクニカルなギターソロが聴くものを異次元に誘ってくれる。

#10 攻撃性よりも世界観を大事にしたオルタナヘヴィロック。宇宙的な壮大さを感じさせるサウンドは、DeftonesLoatheを彷彿とさせる。

#11 アルバムの締めに相応しいドラマチックな楽曲。#10に似た雰囲気も感じるが、こちらの方がより歌メロが前面に出てくる印象。シューゲイザー的なサウンドアプローチもチラッと垣間見える等、彼等の音楽的な幅広さも堪能できる。

2ndアルバム「The Place I Feel Safest」叙情派プログレッシブ・メタルコアの名盤だが、EPを挟んでリリースされた3rdアルバム「The Way It Ends」は、よりバリエーションに富んだアレンジと表現の奥深さが増し、また前作とは違ったベクトルで洗練された印象を受けた。メタルコアというジャンルではどうやら収まりそうに彼ら。今後の活動も逐一チェックしていきたい。