Novelists FR「C’est La Vie」(2020)

2020年11月2日

フランスはパリ出身のジェントメタルコアバンド3rdアルバム。

 何やら今作からバンド名にFRがつくようになったNovelists FR(ノベリスツ エフアール)は、13年にパリで結成されたジェント系のアプローチを多用するメタルコアバンドで、ヨーロッパのジェントメタル界の先駆者的存在。Gt、DrのDuran兄弟を中心に実績のあるメンバーを集めて結成されたバンドで、デビュー当時から、高い演奏力が話題となり、15年に発表されたアルバム「Souvenirs」が、一躍話題となる。18年には、国内Djent/プログレッシヴ・メタルコアバンドEarthistsの招聘で、来日ツアーを行なっている。今作、「C’est La Vie」(セ・ラ・ヴィ)は前作から3年ぶり、お馴染み<SharpTone Records>からのリリースとなる。

アグレッシブなDjentリフとポストハードコア的な懐の深い多彩なアプローチが融合。特にこのバンドはメロディアスで、Jazz/Fusion系のテクニカルなアレンジと、伸びやかな歌には抜群のポップセンスを感じる。普段からメタルを聴く人はもちろん、聴かない人にも十分アピールできる作品だと思う。今作は、ゲストとしてBliss SighのCamille Contreras、LandmvrksのFlorent Salfati、NubiaのMichael Hirst、IntervalsのAaron Marshallが参加。

Chon、Invent,Animate、Periphery、The Afterimageなどが好きな人は特にオススメ!!

メンバー

・ Florestan Durand(フロレスタン・デュラン) :Guitars

・ Nicolas Delestrade(ニコラス・デレストラーデ) :Bass

・ Amael Durand(アマエル・デュラン) :Drums

楽曲紹介

01. Somebody Else

02. Deep Blue

03. Lilly

04. Modern Slave

05. C’est La Vie(feat. Camille Contreras )

06. Head Rush

07. Kings of Ignorance(feat. Florent Salfati)

08. Rain(feat. Michael Hirst)

09. Human Condition(feat. Aaron Marshall)

#1 Jazz/Fusion系のギターをルーツとした哀愁漂うメロディが涙腺を刺激してくる。歌も含め全楽器が素晴らしいメロディを奏でている。テクニカルなプレイをテクニカルと意識させることなく楽曲の世界に自然と誘われる。Chonなんかが好きな人は特にハマるだろう。

#2 ヘヴィかつメロディアスなリフから浮遊感ある空間系の単音フレーズへの流麗な展開には、思わず息を飲む。重心低く静かに抑えている部分と一気に解放するサビとのコントラストが魅力の曲。

#3 マイナー調のギターフレーズをバックにラップ調の歌唱法から始まる。シャウト/クリーンを織り交ぜながら徐々に楽曲は熱を帯びていく。カッチリとしたドラミング、Djent系のリフと箇所ごとに聴きどころがあるので歌とどう絡んでいるのか?よく聴き込んでみるのも面白い。

#4 複雑なDjentリフへ一気に雪崩れ込む#4。こういった演奏はモロにテクニカル系だなと彼らの素晴らしい技術を再認識させられる。やはり彼らはいくら好き放題やっても、メロディがキャッチーだし、なんといってもサビでリスナーの元にちゃんと戻ってきてくれる(笑)信頼感があるので割と多くの人が安心して聴ける作りになっていると思う。

#5 透明感のあるギターフレーズ、Jazz/Fusion由来のコードアプローチ・・・もう一言で言ってオシャレ!!馬鹿テクをひけらかすわけでもなく、あくまで歌を、楽曲を活かすための謂わば大人なアプローチ。正直ゲスト参加は蛇足かなと思ったけどそこは好みが分かれるところ。メタル、ポップス云々の前に音楽家としてレベルの高さが窺える一曲。

#6 冒頭の勢いのあるメロディアスなリフが印象的。この手のバンドにしては珍しく起承転結を意識して細部までしっかり作りこまれている。

#7 ガッツリかかったエフェクトや浮遊感のある音像はSF的な世界観を想像させる。今作の中でも珍しくブルータリティを感じさせるリフが聴ける!!ゆったりとしたサビとのコントラストが面白い!!

#8 冒頭からNovelistsらしい一筋縄ではいかないDjentリフをかましてくる。割とゆったりとしたノリの中音数多めのアプローチはさすが。テクニカルでありながら情景が思い浮かぶような豊かな楽曲が作れるのはこのバンドならでは。

#9 冒頭からタッピング系のギターフレーズとコード主体のリフの見事なコンビネーションが炸裂!!重厚な世界観が堪能できる。場面がガラッと変わるブルージーなギターから流麗なギターフレーズへの流れは圧倒されること間違いなし。サビの歌メロとギターの絡みも素晴らしい!!

ヘヴィなアグレッションを維持したまま、歌モノとしても高いクオリティを維持している彼ら。近頃、Djentを取り入れたメタルコアバンドが増え、正直、退屈に感じるバンドも多い中、Novelists FRは、Djent的な表現を自分たちの表現にしっかり落とし込んでいるので信頼できる。何度でもリピートしたくなるバンド!!