Emmure「Hindsight」(2020)

2020年10月29日

アメリカはコネチカット州ニューフェアフィールド出身のニューメタルコアバンドの8thアルバム。

コネチカット州出身の4ピースニューメタルコアバンドEmmure(エミュア)。VoFrankie Palmeri(フランキー・パルメリ)を痛め、バンドが思うように活動できなくなったことにより、15年末、Voを除いたメンバー全員が脱退!!一時は解散の噂も囁かれたが、Glass Cloud、The Tony Danza Tapdance Extravaganzaのメンバーが新たに加入し、Miss May IAttilaでお馴染み、NUCLEAR BLAST傘下の注目レーベル<SharpTone Records>へ移籍。17年には新体制になってから初のアルバム「Look at Yourself」をリリース。9弦ギターの使い手Joshua Travis(ジョシュア・トラヴィス)を初め、強力なメンバーと共に新生Emmureとして新たな道を踏み出した。

そんな彼らの3年ぶりのリリースとなる今作は、ヘヴィな縦ノリサウンドに極悪なブレイクダウン、ラップを中心とした歌唱スタイル等はそのままに、今まで以上に、リスナーを意識して作られているように感じた。初めから終わりまで、彼らのルーツである90年代後半〜00年代前半ニューメタルの魅力が詰め込まれており、KornLimp Bizkitの音楽性を基盤にMudvayneStatic-X 、Coal Chamberといったイルなヴァイブス全開な"オレ達のバンド”から引き継いだ、いい意味での”いかがわしさ”や”ケレン味”のエッセンスが随所で楽しめる!!上記のバンドを知っている人も知らない人もハマること間違いなし!!

メンバー

・ Frankie Palmeri(フランキー・パルメリ):Vocals

・ Joshua Travis(ジョシュア・トラヴィス) :Guitars

・ Phil Lockett(フィル・ロケット) :Bass

・ Josh Miller(ジョシュ・ミラー) :Drums

楽曲紹介

01. (F)Inally (U)Nderstanding (N)Othing

02. Trash Folder

03. Pigs Ear

04. Gypsy Disco

05. I’ve Scene God

06. Persona Non Grata

07. Thunder Mouth

08. Pan’s Dream

09. 203

10. Informal Butterflies

11. Action 52

12. Bastard Ritual

13. Uncontrollable Descent

#1 突然聴こえてくる断続する轟音ギター、そして早送りになったアナウンス・・・Ladies and gentleman!〜とにかく聴く側の期待感を煽りに煽る!!もうワクワクがとまりません!!これLiveで一曲目にやられたら最高だろうな・・・ニューメタルのバウンスサウンドをこれでもかと叩きつけてくる。

#2 牛の鳴き声みたいな(!)独特なギターリフから一気にバンドサウンドを叩きつけてくる。不穏なギターや独特な歌唱法にCoal ChamberあたりのILLな空気を感じずにはいられない!!

#3 響き渡る警報音とインダストリアルミュージック寄りのカッチリしたドラミング!!もうここまできたら引き返せない!!レッドゾーンはもうとっくの昔に振り切っているのだ!!Static-Xを聴いた時の高揚感に近いものがある。

#4 強力なバンドサウンドをバックに、ニューメタルでは常套手段となっているスポークン・ワード!!妖しげな低音ボイス雰囲気あるなー!!エフェクティブなギター音(グリッサンド??)で場面転換することでその後のメタルメタルした重い展開が大分聴きやすくなっていると思う。

#5 モーター音??と断続的なリフ、そこに逆回転のフレーズを足して、不穏な空気感を演出している。ヘヴィなバンドサウンドが足されることで彼ら独自のサウンドに仕上がっている!!デヴィッド・リンチのマルホランド・ドライブとか好きな人は好きかもしれない!!

#6 ベースを中心とした低音域のウネリと力強くしなやかなドラミングが共に奏でる音はとにかく濃密!!各々の動きが有機的に作用しながら1つの大きな流れを作っていく様はただただ圧倒される。これは、Liveで見てみたい!!

#7 初期のKorn楽曲から感じたイルなバイブスが感じられる一曲。終盤に登場するジョナサン特有のあの歌唱法には驚いたが、彼らなりの愛が感じられて良かった。何より彼らは、作品数は多いがまだまだ先が長いので、末長くあの歌唱法を使っていってもらいたい!!

#8 セリフのサンプリングなんかも挟みつつ楽曲自体はシンプルなんだけど、ギターのエグい歪みと様々に変化する歌唱法で楽曲に緊張感を与えている。

#9 Slipknotの呪術的なパーカッションが主体となった曲(Prostheticsなど)を彷彿とさせる。彼らのおどろおどろしい雰囲気の代わりにデスコア的な破壊力でより先鋭的な曲になっている。

#10 2分弱と短い曲ながら、静と動のコントラストが楽曲をより立体的に見せている。静パートで薄ら聴こえてくる曲・・・一体誰の曲をサンプリングしているのだろう??

#11 鈍器で殴るような硬質なバンドサウンドでブン殴られる。筋肉質なサウンドでひたすら攻めてくる飾りっ気なしの真にハードコアな一曲。

#12 #11とこの曲は、90年台後半〜00年前半あたりに活躍していたハードコア寄りのミクスチャーバンドdownset.の名盤「Check Your People」なんかを思い出した。決して似てるわけではないが・・・筋肉質なサウンドでじっくりいたぶってくる感じが通じる部分かなと。

#13 鋭利なピッキングハーモニクスによるリフが印象的な楽曲。爬虫類みたいなエフェクトがかかったスクリームが耳にこびりついて離れない。力強いパワー漲る楽曲。

ニューメタルのカッコよさを詰め込んだいい意味でのチャラさ(笑)そして音から溢れ出ているEmmureの不屈の精神が、閉塞感でいっぱいのこの時代を生き抜く助けになってくれるかもしれない!!