Bury Tomorrow「Cannibal」(2020)

2020年10月29日

イギリスはハンプシャー州のメタルコアバンドの6thアルバム。

06年に結成して以来、コンスタントにアルバムをリリースしてきたUKメタルコアの雄、Bury Tomorrow(ベリー・トゥモロー)。デビュー以来、現在までUKメタルコアシーンを背負って活動してきた彼ら。今やシーンの中核を担う実力派バンドとして力を見せつけている。

前作、「Black Flame」(18)が、全英21位(3作連続TOP40圏内)、全英TOP Heatseekersチャートでも13位を記録。メロディアスな要素はあるものの、基本的にはゴリゴリのメタルコアサウンドのまま認められたという事実が彼らの実力を物語っている。素晴らしい!!

今作は、プロデューサーにSikthDan Weller(ダン・ウェラー)、ミックス/マスタリングは、元PeripheryのメンバーAdam"Nolly"Getgood(アダム・ノーリー・ゲットグッド)Architectsの作品などを手がけたErmin Hamidovic(アーミン・ハミドヴィッチ)が担当。近年は、Jason Cameron(ジェイソン・キャメロン)のクリーンVoを活かした曲が増え、スクリーム担当のDaniel Winter-Bates(ダニエル・ウィンターベイツ)とのツインボーカル体制ならではの強みを生かしたスタイルを前面に出している。プロデューサーのDan Wellerは、現在の彼らの武器であるツインボーカルスタイル確立の立役者と言われている。

今作は、メンタルヘルス面で苦しんだ経験を持つVoのDaniel が、自分自身と向き合ったパーソナルな作品である。この問題を取り上げることで、行動につながり、最終的に苦しんでいる人の命を救う事になるという想いからこのテーマを取り上げたという。(実際、Danielはメンタルに関する問題に悩んでいる人々に手を差し伸べるSafespaceの活動に協力している。)

メンバー

・ Daniel Winter-Bates(ダニエル・ウィンターベイツ):Unclean Vocals

・ Kristan Dawson(ザック・ジョンソン) :Lead Guitars

・ Jason Cameron(ジェイソン・キャメロン) :Rhythm Guitars/Clean Vocals

・ Davyd Winter-Bates(デイヴィッド・ウインターベイツ) :Bass

・ Adam Jackson(アダム・ジャクソン) :Drums

楽曲紹介

01. Choke

02. Cannibal

03. The Grey (VIXI)

04. Imposter

05. Better Below

06. The Agonist

07. Quake

08. Gods&Machines

09. Voice&Truth

10. Cold Sleep

11. Dark, Infinite

#1 不穏かつメカニカルなギターフレーズが遠くから徐々にフェードイン。と同時にヘヴィなバンドサウンドに後頭部をぶん殴られる!!油断すると地を這うようなギターリフに飲み込まれること必至バウンスするリズムアプローチは昨今のニューメタルコアファンにもアピールできると思う。

#2 近未来感溢れるフレーズからグルーヴィーなリフが楽曲を引っ張っていく。硬派なスタイルだが、よく聴くと口ずさめるほどのキャッチーさがある。多くの人に支持される理由の一つだろう。

#3 キャッチーながら崩落寸前みたいな歪なギターリフが印象的な楽曲。そこから場面転換していくBメロパートへの流麗なつなぎ方も流石!!どこかヘヴィな音像でありながら神々しいイメージも感じる。まさにBury Toworrowならではの楽曲。

#4 全体的にオールドスクールな雰囲気を感じさせる一曲。疾走感あるスラッシーなリフパートは思わず頭を振らずにはいられない!!極悪なブレイクダウンは拳を突き上げ声をあげよう!!クリーンボーカルの裏でシャウトをかますなどツインボーカルならではの細かいアレンジも光る!!

#5 力強いドラミング〜浮遊感のある空間系のフレーズが鳴り響く。筋肉質なサウンドとの組み合わせがなんとも面白い。お互いのパートがお互いの良さを際立たせている。楽曲の世界観を雄弁に語るギターソロは必聴!!

#6 ブルータリティを感じさせるギターリフとサビの優しさと哀切が混ざったようなサビの歌は何回でも聴きたい!!中毒性アリ!好きな人はものすごいハマる!!エッジィな部分とメロウな部分が混ざり合った独特な雰囲気の楽曲。

#7 冒頭のアルペジオは、同じフレーズをひたすらループさせているだけなのに壮大な世界観を感じさせる。そしてそのフレーズからは温かみと共に物悲しさを感じさせる不思議な印象を受ける。

#8 個人的キラーチューン!!若干NWOBHMな匂いを感じるスクリームの裏で弾かれるリフ!!フックのあるメロが最高!!そしてなんといっても力強くそして切ない歌!!もう何度でも聴きたい!!

#9 叩きつけるようなリフの応酬からアグレッション全開のスラッシュパートへ!!この爆発力は痛快である。北欧メロデス勢にも通じる慟哭なメロディアスリフをサラッと入れ込み泣きのサビ歌へ!!世界観をより雄弁に語るドラマチックなギターソロはお見事!!比較的短めに終わるのも潔くて良い!!

#10 間髪入れずに始まるギターによるテーマフレーズがカッコいい!!ギターキッズなら食いつくこと間違いなし!!曲本編のリフも細かくアレンジを変えながら曲全体の緊張感を持続させていく。何度かブレイクダウンを挟みながら常に曲の勢いがドライブしている。

#11 ドラムによる高速フレーズからこれまた華のあるギターフレーズを弾き倒す!!とにかく勢いが凄い!!速い!!速い!!中堅バンドの締めの楽曲とは思えない若々しさ!!(笑)曲自体のスピードも速いしブレイクダウンの荒々しさも素晴らしい!!

切ないメロディのクリーンボーカルと荒々しいスクリームの絡みが面白く、人間の多面的な感情を前作以上に上手く表現していたと思う。またオールドスクールな要素も加味されていて、メタルコアでありながら、より純粋なヘヴィメタルに近づいているように感じた。As I Lay Dying、Bleed From Within、Parkway Driveなどが好きな人はハマるのでは??