Polaris「The Death of Me」(2020)

2020年10月29日

オーストラリア出身メタルコアバンドの2ndアルバム。


3年ぶりにリリースされたPolaris(ポラリス)の2ndアルバム。 

高校時代、DrumsのDaniel Furnari(ダニエル・ファーナリー)GuitarのJake Steinhauser(ジェイク・シュタインハウザー)により12年に結成。その後、幾多のメンバー加入、脱退を経て13年GuitarのJake SteinhauserがBassに転向新しいGuitarにRyan Siew(ライアン・シーウ)が加入することで、現在のラインナップが揃う。

17年10月にリリースされた1stアルバム「The Mortal Coil」各方面で高評価を受け、メタルコアの新星として注目を集める。

メタルコアのカリスマ、そして地元の先輩バンドであるParkway Driveを初め、AVENGED SEVENFOLD、ARCHITECTS、AUGUST BURNS RED、BRING ME THE HORIZON、BULLET FOR MY VALENTINEといった骨太なバンドの遺伝子をしっかり受け継ぎながらも、光とヘヴィネスのコントラストを大事にソングライディングし、ブレイクダウンに頼らずフックのあるリフやメロディによりしっかり"聴かせる"楽曲が揃っていることが彼らの特徴だろう。

今作は、メタルコアが基本にありながら、JazzやR&B的なリズムアプローチや、ポストロックやポストメタルを思わせるフレーズや空間使い等、幅広いアレンジを聴くことができる。しかし、決して散漫な印象は無く、むしろ前作以上に一つの方向性の色にまとめられ、一本筋の通った印象を受ける。彼らの幅広い音楽的なバックボーンが感じ取ることのできるアルバムだ。彼らの音からは、新世代メタルコアのクリエィティブな雰囲気が感じられる。


メンバー

・ Jamie Hails(ジェイミー・ヘイルズ):Vocal

・ Ryan Siew(ライアン・シーウ):Guitar

・ Rick Schneider(リック・シュナイダー):Guitar

・ Jake Steinhauser(ジェイク・シュタインハウザー):Bass

・ Daniel Furnari(ダニエル・ファーナリー):Drums

楽曲紹介

01. Pray for Rain

02. Hypermania

03. Masochist

04. Landmine

05. Vagabond

06. Creatures of Habit

07. Above My Head

08. Martyr(Waves)

09. All of This is Fleeting

10. The Descent

#01 叙情的なパートから肉体的な躍動感を徐々に魅せていく流れをメリハリをもって聴かせてくれる!!

#02 破壊力抜群の二曲目。冒頭のブチギレたノリのまま行くかと思いきや、何気に展開が多く、彼らの器用な一面が名垣間見える。筋肉で握り潰すような力強い音が印象的。

#03 キャッチーな歌メロと強烈なスクリームが同居するミドルテンポ楽曲。コード感を大事にしていて攻撃的なだけではなく情感が読み取れる作りになっている。シーケンス的ギターフレーズが最高にかっこいい。

#04 なんとなーくギターリフやノリ、雰囲気、Slipknotの曲が頭をかすめる4曲目。これはもう王道的なカッコよさ!!ニューメタルにも通じる「わかりやすくて、ノれる」タイプの曲。個人的には非の打ちどころ無し!!

#05 冒頭の飛び道具系のエフェクトでもうグッときてしまう。やはりニューメタル好きにアピールできる内容。リズム隊を中心としたゴリゴリのグルーヴで曲を引っ張ってくれる。哀愁漂いつつも爽やかさのあるサビの雰囲気はクセになる。

#06 Polaris流グルーヴメタルで迫る6曲目。思わず拳を掲げてシンガロングしたくなる。ゴリッゴリにグルーヴしてもちゃんとメロウなところに着地するのが彼らのスタイル。  

#07 スクリームから突き抜けるようなサビが非常に印象的な楽曲。サビ後にスッと挿入される落ち着いた展開に彼らの音楽的な懐の深さを垣間見る。

#08 #7の後にそうくるか!というしっとりした流れから暗闇に一縷の光が差す、"生"の匂いに満ち溢れた楽曲。また、こういったラウド系のバンドにしては珍しいくらい静と動のコントラストがしっかり表現されている。

#09 空間系のフレーズから神々しさすら感じさせるコード進行についつい心を持っていかれてしまう。一曲の中で様々に展開していく楽曲と、その都度切り替えられる破壊的なスクリームと青くさいクリーンボイスは人の内面を見事描き切っていると思う。

#10 いきなりレッドゾーンを振り切ったブチギレ系シャウトをかましてくる!!キレッキレのボーカルと演奏陣。正直、華がある曲ではないが、このアルバムの締めとしては相応しい説得力がある。

既存の形式にとらわれることなく、自分たちのメタルコアをやってやろうという気概が感じられる頼もしいバンドPolaris。間違いなく今年聴いた音楽の中でもトップに入る、出会えて良かったと思えるバンドだ。是非とも、多くの人に聴いてほしい。