Bleed From Within「Fracture」(2020)

2020年10月29日

スコットランドはグラスゴー出身のメタルコア・バンドの5thアルバム。


05年にグラスゴーにて結成されたBleed From Within(ブリード・フロム・ウィズイン)は、「Humanity」(09年)でデビュー以降、これまで4作品をリリース。初期の北欧メロデスを彷彿とさせるスタイルから、徐々にメタルコアやグルーヴメタル的な音楽性に近づいてきた彼ら。

<Century Media Records>よりリリースされた5枚目となるアルバム「Fracture」(フラクチュア)の制作にあたり、過去を断ち切り、新生Bleed From Withinとして新たなスタートを切るため、メンバー全員がしっかり向き合いながらバンドについて語り合ったという。

前作「Era」リリースに伴い、Lamb Of God、OF MICE AND MEN、As I Lay Dying、Any Given Day等と共に過酷なツアーを回り、19年3月にはDespite Exileと共に待望の初来日が実現。5月には、From Sorrow To SerenityのメンバーとしてSteven Jones(スティーブン・ジョーンズ)、Craig “Goonzi" Gowans(クレイグ・ゴウワンズ)が来日。こうした様々な経験値を存分に反映し、作られたのが今作5枚目のアルバムとなる「Fracture」だ。

今作は、攻撃的なサウンドばかりではなく、しっかり"聴かせる"という部分に重点を置いているように感じた。メタルコア 、スラッシュメタル、グルーヴメタル、デスメタルなど様々な音楽性をミックスさせた攻撃的でダイナミックなサウンドが聴く者を圧倒する。
#6の「Night Crossing」ではTRIVIUMのフロントマンMatthew Kiichi Heafy(マシュー・キイチ・ヒーフィ)が参加。叙情的でエネルギッシュなギターソロを聴くことができる。ミキシングは元PERIPHERYのメンバーAdam"Nolly"Getgoodが担当している。


メンバー

・ Scott Kennedy(スコット・ケネディー):Vocals

・ Craig “Goonzi" Gowans(クレイグ・ゴウワンズ) :Guitar

・ Steven Jones(スティーブン・ジョーンズ):Guitar、Clean Vocals

・ Davie Provan(デイヴィー・プロヴァン) :Bass

・ Ali Richardson(アリ・リチャードソン):Drums、Perc

ゲスト

・ Matthew Kiichi Heafy(マシュー・キイチ・ヒーフィ)

楽曲紹介

01. The End of All We Know

02. Pathfinder

03. Into Nothing

04. Fall Away

05. Fracture

06. Night Crossing

07. For All to See

08. Ascend

09. Utopia

10. A Depth That No One Dares

#1 タイトかつメカニカルなギターフレーズが冒頭から炸裂する一曲目。殺傷力のあるスラッシーなリフと思わずシンガロングしたくなるメロウなサビが上手く同居している。一曲目にふさわしい謎の神々しさが感じられるアレンジ。

#2 曲の冒頭の方に登場するディレイによる単音フレーズが曲の世界観を端的に表していると思う。(SFチックなフレーズがこれまた最高!!)この印象的なフレーズだけで心持ってかれること間違いなし。後半にサラリと入る民族系アトモスパートが曲をよりドラマチックに演出する。

#3 ひたすらヘヴィなリフが曲を引っ張っていくグルーヴメタルな一曲。最近ニューメタルコア のタイトなリフばかり聴いてたのでこういうノリは新鮮に感じる。自分の体に染み込んでるのはこっちのノリだな!やっぱりいいなぁおい!!

#4 冒頭のドラムフレーズから雪崩れ込むように始まる。噛み付かんばかりのアグレッション溢れるリフにとにかくテンション上がりっぱなし。とにかくギターリフをここまでカッコよく聴かせたらもうその時点で優勝!!(何の??笑)もうずっとリフばかり聴いていたい。

#5 攻め一辺倒ではなくどこか和を感じさせる雰囲気。こういった絶妙なワビサビを感じさせる曲を聴かせる彼ら!!流石である!!

#6 大きく躍動する楽曲、重々しいリフと突き抜けるグッドメロディになんとなくAlter Bridgeを思い出す。ゆっくり駆け上がっていく熱いギターソロの哀愁さすが!!

#7 グルーヴメタル的なネチっこいリフで引っ張っていく曲だと単調になりがちだが、この曲は展開が多く、様々な景色を見せてくれる。ガナリ型のサビボーカル、安易にクリーンに行かないことで感情が地続きになってる様が感じ取れる。

#8 ひたすらに切り刻むスラッシーなリフとオブリフレーズが印象的。アグレッション全開で突っ走る中、トレモロ奏法で聴かせる妖しげなパートを、さらっといれることにより、曲の世界観に奥行きができる。

#9 ミドルテンポのリフによる殺傷力が十分に楽しめる楽曲。血生臭い雰囲気はPanteraやLamb Of Godを彷彿とさせる。

#10 冒頭の抉るようにグルーヴするバンドサウンド(リズム隊かっけ!!からの)各々が自由に動くアプローチ、そして1つの音塊となって向かってくる・・・というバンドサウンドの旨味が上手いこと抽出されている。肉体的な楽曲ながらアトモス的な世界観もチラッと感じさせる。重層的な楽曲。

攻撃性とキャッチーさ(媚びるようなポップさではない)が奇跡的なバランスで成り立っている今作。過去作と比べても、重厚で奥深さを感じさせるアルバム。As I Lay Dying、Lamb Of God、Mastodon、Soilwork等が好きな人にはぜひ聴いてもらいたい。