Abiotic「Ikigai」(2021)

 USフロリダ/マイアミ出身のテクニカル・デスメタルバンドの3rdアルバム。

アートワークはCaelan Stokkermans(ケーレン・ストッカーマンズ)が担当!!

10年結成の、USフロリダ/マイアミを出身のテクニカルデスメタルバンドAbiotic(エイビオティック)6年ぶりの3作目。今回は、<The Arstin Era>からのリリース。<Metal Blade Records>から12年に1stアルバム「Symbiosis」、15年に2ndアルバム「Casuistry」をリリースするも、16年に活動休止。その後18年に復活し、19年にシングル「Emerald」をリリース。メンバーも活動再開に伴いメンバーが入れ替わっていたりと、それなりに紆余曲折あった訳だが、今作「Ikigai」は、彼らの決意の込められた、バンドの新たな門出に相応しい、素晴らしいアルバムとなった。

前作までのテクニカル・デスメタル/デスコア由来の正確無比で無慈悲なブルータリティをしっかり維持しながら、今作は、日本由来の叙情的な世界観がアルバム全体に通底しており、メロディックなアレンジが大幅に組み込まれている。北欧メロデス系の叙情性ではなく、”デスメタル由来の美学を感じさせるUSのメロディック”といった印象。(AllegaeonBeyond Creationを彷彿とさせる)。また、前作までの作風の流れの真逆を行くような、リズムの"間"(ま)を活かしたアレンジや、邦楽(日本古来の音楽)の要素を融合させた、映像を喚起させるような楽曲など、エクストリームなだけでは無い、音楽的な深みが増したのが印象的だ。また、テクニカルな演奏が縦横無尽に飛び交う中での、うねりにうねる存在感のあるベースプレイにも注目してほしい。

作曲、プロデュースはAbiotic。エンジニア、ミックス、マスタリングは19年に加入したドラマーTony Simone (トニー・シモーネ)。彼はZenbeastMediaのエンジニアでもあり、前作のシングル「Emerald」から制作とミキシングの指揮もとっているバンドサウンドを司る重要な役割を担っている。


メンバー

・ Travis Bartosek(トラヴィス・バルトゼク)Vocal

・ John Matos(ジョン・マトス):Guitar

・ Matt Mendez(マット・メンデス):Guitar

・ Kilian Duarte(キリアン・ドゥアルテ):Bass

・ Tony Simone (トニー・シモーネ):Drums

楽曲紹介

01. Natsukashii

02. Ikigai

03. Covered the Cold Earth

04. Smoldered(feat. Chaney Crabb)

05. The Wrath

06. If I Do Die(feat. Brandon Ellis)

07. Souvenir of Skin(feat. Trevor Strnad)

08.  Her Opus Mangled(feat. Jared Smith)

09. Horadric Cube(feat. Scott Carstairs)

10. Grief Eater, Tear Drinker(feat. Jonathan Carpenter)

11. Gyokusai

#01 日本古来の邦楽的なサウンド。日本的な情緒溢れる音に一気に引き込まれる。「Natsukashii」=「懐かしい」というタイトルは、ジャケットデザインの切腹した武士の心情を表しているのだろうか??

#02 日本的な音色を主体にしたメタルコア/テクデスといったところか。タイトルはこれまた日本語タイトル「Ikigai」。ミドルテンポのブルータルサウンドの合間合間に日本庭園が見えてくるような日本古来の邦楽的な音が顔を覗かせる。侘び寂びをきかせたメタルコア /テクデスサウンドに強烈なオリジナリティを感じる。

#03 ここからは前作までの作風に近い無慈悲なテクデスサウンドに。だが、今作に限っては抒情性が増し、よりソフトでプログレッシブなサウンドにシフトした印象。映像が思い浮かぶようなドラマチックな展開に圧倒される。

#04 後半の日本的な叙情パートにリフを被せていくパートは若干冗長に感じてしまう。EntheosChaney Crabbのハイピッチなスクリームには、ただただ圧倒されるばかり・・・めちゃくちゃカッコいいやん!!

#05 ダークで荘厳な世界観を主体としたシンフォニックなアレンジが映える。疾走パートは思わず拳を突き上げたくなる爽快感!!レッドゾーンを振り切ったアグレッションと奥深く壮大な音像が楽しめる。

#06 禍々しいオーケストレーションをバックにミドルテンポでじわじわ攻めてくる楽曲。正確無比で無慈悲なドラミングが炸裂するが、間を空け、ちょっとずつパターンを変えるドラミングなので全くもって飽きなどとは無縁だ。The Black Dahlia MurderBrandon Ellisによる流麗な泣きのギターソロが楽曲に彩りを添えている。

#07 プリミティブな力強いノリと、ドスの効いたTravis Bartosek(トラヴィス・バルトゼク)のボーカルワークが見事に噛み合い、他の楽曲には無い破壊力を感じる。The Black Dahlia MurderTrevor Strnedによるキー高めの吐き捨てるようなシャウトが最高にクール!!

#08 引きずるようなノリの中、次々に変化していく禍々しくもメロディアスなギターリフが印象的だが、ArchspireのベーシストScott CarstairsによるJazz/Fusion系、あるいはCynic的な雰囲気のベースソロが聴く者を違う次元に誘う。コピーしたくなるフレーズ!!

#09 切ないピアノのフレーズが印象的な楽曲。低音リフの刻みや、コードの響きを主体としたパート、Gojiraを彷彿とさせるノイジーなアプローチなどが変幻自在に組み込まれていく様は、まるで異形の建築物が目の前で建てられていく過程に近いと思う。UlcerateやGorgutsを彷彿とさせる。FallujahのギタリストScott Carstairsのメロディックかつ伸びやかなロングトーンが楽曲の世界観に光を与えている。

#10 無慈悲かつ複雑怪奇な世界観の中、Jonathan Carpenterの温かみを感じるクリーンボイスが入ることで世界観に奥行きが生まれる。どこかCynicを感じるメロディセンスも含め、クセになること間違いない!!

#11 日本語タイトル「Gyokusai」。悲哀を感じるピアノのフレーズと爆発的な破壊力が共存した冒頭から、目まぐるしく変化していく楽曲。フレーズの組み立て方なのか?正直若干の冗長さを感じるが、物語性を感じる最後のセリフ含め、アルバムの最後に相応しい曲ではあると思う。

0