ALLEGAEON「Apoptosis」(2019)

2020年5月19日

2008年に結成された、アメリカはコロラド州ラリマー郡出身のテクニカルデスメタルバンドです。


今回の5thアルバムのタイトルApoptosis」(アポトーシスとは、「個体をより良い状態に保つために細胞が自然死するシステム」のことです。なんじゃそりゃ?って感じですが、例としては「オタマジャクシからカエルに変態する時に尻尾が無くなる」、「人間の手ができる過程で、指と指の間の細胞が死んで無くなっていく」といったことが挙げられます。

彼らは、地元フォートコリンズとその周辺のバーでliveを開始します。08年8月頃、セルフタイトルのEPをリリース。その後まもなくしてMetal Blade Recordsと契約し、10年7月20日1stアルバム「Fragments of from Function」をリリースします。

16年9月4thアルバム「Profet for sentience」をリリース。この作品には、SOILWORKBjörn “Speed" StridScar SymmetryBenjamin Ellisが参加。過去最高作と賞賛されました。オーケストラアレンジによる今までにない壮大な作風の曲が多く収録され、彼らのアレンジ力の幅の広さに驚かされました。

19年4月19日5thアルバムApoptosisをリリース。このバンドは、メンバーの入れ替えが激しく、最近では15年にVoのEzra Haynes脱退し、Riley McShaneが加入、また、16年10月、長年活躍してきたBassのCorey Archuletaが脱退し、今作からBrandon Michaelが加入オリジナルメンバーはGuitarのGreg Burgessただ1人です。

彼らは"テクニカルデスメタル"という括りで紹介されることが多いですが、ブルータリティとメロディアスさの絶妙なバランス、そして随所に登場する幽玄なクラシックギターによるしらべが曲の世界観をより盛り上げます。彼らは、もともと違うメタル分野から集まってきて結成されたということですが、彼らの演奏を聴くと、音楽的な引き出しの多さや懐の深さを感じます。

最近は宣伝活動の一環として地下鉄内でデスメタルを演奏するという動画を上げていることでも話題ですね!最高!

メンバー

Riley McShane – Vocals

Greg Burgess – Guitar

Michael Stancel – Guitar

Brandon Michael – Bass

Brandon Park – Drums

ゲストミュージシャン

Christina Sandsengen(Gt)ノルウェーのクラシックギター奏者


楽曲紹介

1. Parthenogenesis(instrumental)

2. Interphase//Meiosis

3. Extremophiles (B)

4. The Secular Age

5. Exothermic Chemical Combustion

6. Extremophiles (A)

7. Metaphobia

8. Tsunami and Submergence

9. Colors of the Currents" (instrumental; feat. Christina Sandsengen)

10. Stellar Tidal Disruption

11. Apoptosis

#1「Parthenogenesis」今回初参加となるベーシストCorey Archuletaによるテクニカルなベースラインから始まります。ここから断続的にギターのリフが音を重ね、爆発するかの如く、熱いギターソロが駆け上がります。 冒頭からフルスロットルでテクニカルなギターフレーズをキメてきますが、テクニカル一辺倒ではなく、随所随所にメロディアスなフレーズが顔を覗かせる、短い時間でありながら細部まで作り込まれたドラマチックな曲です。

#2「Interphase//Meiosis」強烈な咆哮とともに本編スタートといったところ。ギターのスラッシーなリフ、テクニカルなオブリガード、SF感溢れるフレーズをさらっと弾きこなし壮大な世界観を私達に提示してくれます。オクターブを行き来するような細かいアプローチが印象的です。

#3「Extremophiles (B)」珍しく爽やかな雰囲気のリフからスタート。未来感溢れるシーケンス風フレーズは、なんとなくSOILWORKを彷彿とさせます。また一瞬登場するクリーンボイス、コード感を全面に押し出す弦楽器隊のアプローチ、そして不気味に動くベースラインが印象的です。

#4「The Secular Age」冒頭のツインギターによる不穏なフレーズが印象的。繰り返されるエッジーなリフがとにかくカッコいいしそこからコード感を感じさせるポストブラック系のトレモロリフへの流れはお見事!途中、ベースによるスラップパートがいいフックとなり最後まで緊張感を持続させます。

#5「Exothermic Chemical Combustion」DIMENSION ZERO系の高速デスラッシュソング。 デスボイスの重ね方がリズミカルで心地良いです。ボーカルが乗ってからは細かくリフのアプローチに変化をつけ緊張感を持続させます。とにかくソロがかっこいい!

#6「Extremophiles (A)」イントロのモワッとしたエフェクトサウンド〜慟哭リフの雰囲気が私の大好きな3rdアルバム「Elements of the Infinite」の3曲目「Dyson Sphere」と似た雰囲気を持っていて勝手にブチ上がった訳ですが、このタイプのブルータリティを醸し出しながらのメロディアスなフレーズは本当に彼らの持ち味だと思います。

#7「Metaphobia」待ってましたー!の激烈ブラスト〜高速デスラッシュソング。 リフがとにかくクール!この曲はこのクールなリフを聴くためにあるんだと思います。#5と同様、デスラッシュなパートからギターソロで違う次元に連れて行ってくれる彼らのスキルとセンスにただただ脱帽。

#8「Tsunami and Submergence」前回のアルバムからの流れを感じさせるオーケストレーションが入る曲。テクニカルでありながら、より曲のドラマチックさを際立たせるためのアレンジが印象的。暗黒面へ引っ張られそうな変則的リフと、クリーンボーカル/デスボイスを繰り返す構成が印象的です。なんとなーくプログレデス時代のOpethを彷彿とさせる部分もありますが、後半のデスラッシュパートや随所で的確にキメてくるギターの高速オブリにALLEGAEONらしさが感じられます。他の曲に比べるとカオティックな面は潜め、ドラマチックな作りに重きを置いているように感じられます。改めて表現の幅の広さに驚くばかりです。

#9「Colors of the Currents」Greg Burgessとノルウェーのクラシックギター奏者Christina Sandsengenによるクラシックギター小曲。短いながらもALLEGAEON=唯一のオリジナルメンバーGreg Burgess音楽の"静"の面が堪能できます。こういった曲がアルバムに入ることで流れにより深みが増しますね。

#10「 Stellar Tidal Disruption」冒頭の引きずるようなリフが印象的だが、この曲はメロディアスなフレーズでひたすら引っ張っていく、どちらかというとインストのような感覚で聴きました。縦横無尽なギターワークで次々と新しい世界を描いていく展開にはただただ圧倒されます。

#11「Apoptosis」冒頭から空間系のアルペジオの上でVoがクリーンボイスで熱く歌い上げるという、今作ならではの展開。若干Arch EnemyのNemesisライクなノリのリフがありつつ、スラッシーなリフと咆哮で攻めます。中盤の繊細ながらも力強いボーカル含め、アトモスフェリックな空気を感じるアレンジにはこれからのALLEGAEONの次なる方向性を垣間見た気がします。

新たな側面を見せてきた今回のアルバム。#8以降の流れに特に顕著な「今まで以上に”聴かせる”曲が増えた」点がとても印象的です。これからALLEGAEONはどういった進化を見せてくれるのか?今後も彼らから目が離せません!