Vampire「Rex」（2020）
スウェーデンのデス/スラッシュ・バンドの3rdアルバム。
11年にスウェーデンで結成されたデス/スラッシュバンドVampire。たった1枚のデモ作品から＜Century Media Records＞との契約を勝ち取り、14年に1stアルバム「Vampire」でデビュー。17年にはブッとんだジャケットデザインでお馴染みの2ndアルバム「WITH PRIMEVAL FORCE」をリリース。Slayer、Mercyful Fate等の影響を強く感じさせ、スラッシーなリフと北欧ならではの叙情性のあるメロディがクセになるオールドスクールデス/スラッシュサウンドが彼らの持ち味だ。3年ぶりのリリースとなる3rdアルバム「Rex」は、クラシックなメタルからインスピレーションを得たということで、彼ら独自の不穏な世界観はそのままに、Iron MaidenやMetallicaといったバンドからの影響が今まで以上に感じ取れる作品となっている。もちろん、彼らのルーツとなるであろうBathory、Mefisto等北欧の暗黒メタルの系譜をしっかり感じさせるダークなデスラッシュサウンドは健在だ！！この禍々しい世界観は、スタイルだけをなぞったようなモダンなメタルバンドには到底再現できないであろう。
今作のマスタリング・エンジニアとして過去最高の作品を作り上げるため、Jaime Gomez Arellano（ハイメ・ゴメス・アレラーノ）を迎えた。またアートワークはMitchell Nolte（ミッチェル・ノルテ）が担当している。
メンバー
・ Hand of Doom（ハンド・オブ・ドゥーム）：Vocals
・ Black String（ブラック・ストリング） ：Guitars
・ Sepulchral Condor（セパルクラル・コンドル）：Guitars
・ Command（コマンド） ：Bass
・ Abysmal Condor （アビスマル・コンドル）：Drums
楽曲紹介
01. Prelusion
02. Rex
03. Inspiritus
04. Wiru-Akka
05. Pandemoni
06. Moloch
07. Rekviem
08. Serafim
09. Anima
10. Melek-Taus
#1 ギター2本による悲しげな旋律が物語を紡いでいく。ヨーテボリサウンド待ってました！といった具合。曲間なく→#2へ
#2 ジャケットデザインの馬の鳴き声？？ヒヒーンが唐突に挿入された2曲目。慟哭のギターリフが炸裂。スラッシーなリフも織り交ぜながらセクションごとに様々に展開していくリフがとにかかっこいい！！
#3 どこか和の雰囲気を感じさせるイントロからザクザクとスラッシーかつグルーヴィーなリフが刻まれていく。中盤、Slayerを彷彿とさせる高速スラッシュになる展開がなんとも気持ち良い！！様々に展開していく様は圧巻。
#4 「ツヨシしっかりしなさい」並の強烈なキメ（？？）からひたすら突っ走る激烈スラッシュ！！高速オブリフレーズが非常に印象的。1分過ぎあたりから入るシンセのフレーズがとにかくGood Job！！で、ありがちなワンパターンに陥ることなくスッと別の世界へ連れていってくれる。終わりに近づくにつれ盛り上げていく流れも最高！！
#5 力強く粘っこいオールドスクール感満載のギターリフとシンセのマイナー系フレーズの組み合わせが最高！！でカッコいい！！そして情景の浮かぶギターソロがまた最高！！
#6 雄々しい雰囲気のイントロに思わず拳を上げずにはいられない。デスラッシュにも近い荒々しいアグレッションと展開に次ぐ展開で聴くものを異空間へ誘う。
#7 ハードコアなノリでひたすらに突っ走る。中盤以降の仰々しい展開はひたすら頭を振ってしまう。テクニカルというより初期衝動を強く感じる楽曲！！
#8 禍々しいイントロからして、Bathoryなど北欧暗黒メタルの諸先輩方からの影響を十分に感じ取れる。ただただ好きな暗黒北欧メタル！
#9 おどろおどろしいギターフレーズやリフが重なることで徐々に楽器の輪郭が露わになっていく。Vampireにしては珍しく重々しいリズムの曲。曲が進むに従って様々に展開していく様は、なんとも圧巻。
#10 禍々しいリフの応酬と展開に次ぐ展開。ハードコア/スラッシュ譲りの早急なビートも絡めながら、何か入り組んだ城の内部を巡っていくような、プログレッシブな雰囲気も感じ取れる楽曲。
北欧暗黒メタルやNWOBHM（ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル）の影響を今まで以上に感じさせる今作。重低音によるバンドサウンドが主流になってきた昨今、オールドスクールなサウンドだからこそ感じられる禍々しさや怪しさを再確認した。ぜひとも幅広い人にVampireの音楽を聴いてほしい。ぶっ飛ぶぞ！！