Carla dal Forno「Look up Sharp」(2019)
メルボルン出身で、現在ロンドンで活動しているSSW/マルチ奏者の2 ndアルバム。
<Blackest ever Black>からの1stアルバム以来3年ぶりの作品。今作は、自身のレーベル<Kallista>からのリリース。
惜しくも、去年クローズしたロンドンのレーベル<Blackest ever Black>でex-F ingers、TARCARのメンバーとして活動。その後、ソロとしての作品、1stアルバム「You Know What It’s Like」では。ポスト・パンク~ニューウェイヴを中心とした音楽性に初期4ADを彷彿とさせる耽美感を加えたようなアヴァンポップが話題となった彼女。今作「Look up Sharp」は前作の延長線上の音楽性だが、ダブやクラウトロック、エレクトロポップ、オルタナ等様々な音楽性を内包した、より懐の深いダークなドリームポップに仕上がっている。
アヴァンギャルド面が全面に出ているF ingersやTARCARに比べ、メロディのはっきりとした歌モノもある等、比較的聴きやすい内容となっているので、Carla dal Forno(カーラ・ダル・フォーノ)周辺や、<Blackest ever Black>界隈の入門編としてもオススメしたい!!また、Portisheadを始め、AnikaやBroadcast、Grouperなど、いい意味で負のバイブスを放っている女性ミュージシャンが好きな人にもぜひ聴いてほしい!!
メンバー
・Carla dal Forno(カーラ・ダル・フォーノ)
楽曲紹介
01. No Trace
02. Hype Sleep
03. So Much Better
04. Leaving for Japan
05. I’m Conscious
06. Don’t Follow Me
07. Heart of Hearts
08. Took a Long Time
09. Creep out of Bed
10. Push On
#1 ポストパンク的なベースラインにクラウトロック的なシンセ音楽が重なる・・・というとマニアックになりがちだけどポップなメロディが曲をより開かれたものにしていると思う。
#2 叙情性の感じられる上物はメランコリックで温かみを感じるが、淡々と繰り返されるベースフレーズからは、初期ポストパンク /ニューウェーブの冷たさも感じる。
#3 トライバルな印象も受けるトラックの上で淡々と語るのように歌うボーカル。Portisheadが好きな人は好きかもしれない。
#4 ノスタルジーを感じるメロディとロールプレイングゲームのサントラのような音色で、つい涙腺が緩んでしまう。
#5 不穏なトラックと重苦しいビートが響く中、気怠げな歌が乗っかり、独特な世界観を作っていく。
#6 #5と通じる世界観。悲しげでメランコリックなメロディがクセになる。動物の鳴き声のようなものや花火?銃声?のような破滅音など様々な音が散りばめてたり、都会の中のジャングルのような印象を受けた。
#7 緊迫感のあるコードの響きが鳴らされるインストゥルメンタル。狂気を孕んだ静けさが怖い。
#8 初期4AD感のある楽曲。霧がかかったような世界観はDead Can DanceやCocteau Twinsに通じるものがある。
#9 Flying Saucer Attackのアルバム「Further」を彷彿とさせる身体の芯まで冷えてしまうような音。体感する音楽。
#10 退廃的な音像とポップなメロディが心地よい。Warpaintが初期4ADに在籍していたらこういう音楽を作っていたかもしれないなと思った。
マニアックな音楽性ながらメランコリックなメロディとポストパンク的な冷たさ、揺蕩うような歌唱法が癖になる。自分の世界観がしっかりありつつ、バンド活動もしている、またオルタナティブな音楽性という意味でもExploded ViewのAnikaと近いものがあるのでは?と感じているのだけど、いつかAnikaと同じく<Portisheadの"頭脳">ことGeoff Barrowと組んで曲出さないかな・・・なんて勝手に考えている今日この頃。
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