Mrs.Piss「Self-Surgery」(2020)

USゴシックSSW、Chelsea Wolfe(チェルシー・ウルフ)による別名義バンドのデビューアルバム。


ダークネスを表現するUSを代表するシンガーソングライター、Chelsea Wolfe(チェルシー・ウルフ)。彼女が、デビュー前から活動を共にするドラマー、Jess Gowrie(ジェス・ゴウリー)と結成したバンドMrs.Piss(ミセス・ピス)が、デビューアルバム「Self-Surgery」(セルフ・サージェリー)<Sargent House>からリリース。ダウナーな質感を持つChelsea Wolfeとはまた違った、ポスト・パンク/グランジ/スラッジ・コア等をベースとした音楽性だ。Chelsea Wolfe独特の怨念のこもったドロッとした世界観を、旧知の仲であるパワーヒッタードラマーJess Gowrieが叩くことで、より肉体的で外に開かれたサウンドとなっている。初期4AD的なオルタナサウンド#1、アグレッシブなグランジナンバー#2、呪詛を封じ込めた密室的世界観#3#4、ハードコアパンク由来のアグレッションを感じさせるアルバムタイトルの#7バンド名がまんまタイトルとなった#8など、ダークでありながらキャッチー、そして意外に(?)バリエーション豊富なMrs.Pissワールドを展開していく。一瞬、ギョッとしてしまうようなバンド名(小便夫人?)やアートワークからは、女性を抑圧する社会に叩きつける、力強いメッセージを感じる。今後は、ヴォーカリスト、ベーシスト、アートワークなどの女性メンバーを集めてパワフルなアーティスト集団を作っていきたいという。どのような活動を見せてくれるのか?楽しみで仕方がない!!


メンバー

・ Chelsea Wolfe(チェルシー・ウルフ) :Vocals/Guitars

・ Jess Gowrie(ジェス・ゴウリー) :Drums/Guitars/Bass/Programming

楽曲紹介

01. To Crawl Inside

02. Downer Surrounded by Uppers

03. Knelt

04. Nobody Wants to Party with Us

05. M.B.O.T.W.O

06. You Took Everything

07. Self-Surgery

08. Mrs. Piss

#1 音数を絞った空虚でダークな音像だが、プリミティブなドラミングと滲むようなファズギターに乱暴なまでの生命力を感じる。不安定な2つの歌声が重なり、よりカオティックな世界観を演出。

#2 ミドルグランジナンバー。切り込んでくるファズギターとツンのめるようなドラミングが独特の疾走感を感じさせる。キャッチーだが決してポップではないサビメロがカッコいい!!

#3 スラッジ・コア版スージー・アンド・ザ・バンシーズとでも言いたくなる楽曲。音数を絞って間を生かしたアレンジが渋くてクール。シューゲイザーにも通じる甘美な歌声が素晴らしい。

#4 コールド・ウェーブな冒頭から一気にハードコアなサウンドを叩きつける。獰猛なリフとクールな歌の組み合わせがとにかくカッコいい!!ノリの良さではアルバム中1、2を争う楽曲。

#5 鬱々としたグランジナンバーとスージー・スーを彷彿とさせる歌声。叩きつけるようなビートと疾走感ある8ビートを使い分けシンプルながら厚みを持った楽曲になっている。

#6 ゴス+スラッジコア。独特の間を活かしたアレンジと何本も歌を重ねたダークなハーモニーが印象的。

#7 噛み付くようなスラッジコアナンバー。疾走パート、ダウナーパートを行き来し徐々に増幅していく熱のようなものがひたすらにエモい。

#8 ハードコアなアグレッションが全開になったナンバー。鬱々としたグランジパートをバックにどこか危険で甘美な歌声が我々を誘う。