Necrot「Mortal」(2020)

2020年11月2日

カリフォルニア州オークランド出身のデス・メタルバンドの2ndアルバム。

アートワークを手がけるのは、前作から引き続きMarald Van Haasteren

ベイエリア出身のデス・メタル・トリオNecrot(ネクロット)による約3年ぶりの2ndアルバム「Mortal」。お馴染み<TANKCRIMES RECORDS>からのリリース。音楽スタイルはオールドスクール・デス・メタル(以下OSDM)で、近年、Blood Incantation、Gatecreeper、Skeletal Remainsといったバンドと共に、盛り上がりを見せるOSDMリバイバルシーンの1組として語られることも多い。メンバーは、各々Necrot以外に様々なバンドに在籍している歴戦の猛者達ばかり。(詳しくはメンバー紹介のコーナーに記載)確かな技術により、ハイレベルなデス・メタルが奏でられる。近年、良質なデス・メタルバンドを輩出しているベイエリア・デス・メタルシーンで最も話題のデス・メタルバンドである。

11年にカリフォルニア州オークランドにて結成。当初は、(Vo/Ba)のLuca Indrio(ルカ・インドリオ)(Dr)のChad Gailey(チャド・ゲイリー)2ピースでスタート。その後、12年にギタリストのSonny Reinhardt (ソニー・ラインハルト)が加入。16年には、それまでにリリースされた3つのデモをまとめたコンピレーションアルバム「The Labyrinth」をリリース。続いて、17年には、デビューフルレングス・アルバム「Blood Offerings」を発表。このアルバムは、ビルボードのハードロックチャート29位、ビルボードのニューアーティストチャート52位を獲得。Decibel MagazineやRevolberを始めとするメタル関係のメディアを初め、米国内外のファンや批評家から称賛された。また、バンドはメキシコ、スカンジナビアでの数多くのフェスティバルに加えて、米国、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアを広範囲のツアーを回った。

OSDMスタイルのバンドの中には、クラシックな音に近付けていくバンドもいるが、Necrotは、OSDM特有の不気味さ、残忍さはもちろんNecrot流にひとひねり加えた楽曲構成を最新のプロダクションで制作し、独自の音楽性を作り上げている。2年ぶりのリリースとなる本作「Mortal」は、グラミー賞を受賞した、エンジニアのGreg Wilkinson(High on Fire/Autopsy)によって録音され、WestWestSideAlan Douches(Cannibal Corpse/Cattle Decapitation/Mastodon)によってマスタリングされた。音楽性は、基本的に前作の延長線上ではあるが、Autopsyのドヨーンとした空気感や楽曲の骨格にBolt Throwerのダーティな音像や荒々しいリフ、またリフのメロディセンスの節々にCarcass北欧メロデス勢とも通じるブルータリティを感じさせる。また今作は、ブラックメタルからの影響を感じさせるノイジーで禍々しいトレモロリフが聴ける楽曲も収録されている


メンバー

・ Luca Indrio(ルカ・インドリオ) :Vocals/Guitars/Bass → ACEPHALIX・VASTUM

・ Sonny Reinhardt (ソニー・ラインハルト) :Guitars → SAVIOURS・WATCH THEM DIE

・ Chad Gailey(チャド・ゲイリー) :Drums → ATRAMENT・MORTUOUS

楽曲紹介

01. Your Hell

02. Dying Life

03. Stench of Decay

04. Asleep Forever

05. Sinister Will

06. Malevolent Intention

07. Mortal

#1 トレモロ・リフによる邪悪なフレーズが、終始飛び交い、不気味な世界観を作り出している。ハードコア由来のノリと、常に楽曲がドライブするよう考えられた緩急を意識した緻密な構成はお見事!!

#2 CarcassのHeartworkや北欧メロデス勢を思わせるメロディアスなフレーズが絡む激烈スラッシュリフにデス・メタル特有の美学を感じる。多用されるが、しっかりブルータリティ度合いは保たれているのでご安心を!!

#3 疾走2ビートパートと2バス連打パートを使い分けながらブルータルなリフが楽曲を引っ張っていく。中盤あたりから徐々に邪悪な雰囲気が増していく。この禍々しさこそデス・メタルが本来持っていた魅力である。唐突にギターリフが切り込み再び疾走パートへ。リフのメロディセンスなんかは初期Arch Enemyを彷彿とさせる。

#4 つかみどころのないリフが印象的な、邪悪かつ難解な印象の曲。ギターソロにはIron Maidenの曲からの引用と思われる箇所がある。実は、クラシックなメタルの要素を楽曲に融合させるという点も今作のエキサイティングな部分の1つだ。

#5 音像や楽曲の持つグルーヴなんかはドロっとしたOSDM由来のものなんだけど、ギターリフなんかは意外にキャッチーで、メロデス期のCarcassや北欧メロデス勢にも通じるメロディセンスを感じる。長尺でじっくり嬲ってくる嫌ーな感じ(褒めてます!!)感じはBlack SabathやCandlemassあたりからの影響か??

#6 
禍々しい這いずり回るようなトレモロリフや節々で登場する不穏なギターフレーズはブラック・メタルからの影響を感じさせる。

#7 冒頭のトレモロリフによるノイジーな音像からはますますブラック・メタルの影響を感じさせる。ドヨーンとした空気の中、いたぶるように繰り返されるリフの応酬は一度ハマると抜け出せなくなる。テクニカル云々ではなく、楽曲の物語性を引き出すようなギターソロはとにかくセンスが良い!!クセになる楽曲。