Cryptosis「Bionic Swarm」(2021)
オランダ出身のスラッシュメタル・バンドの1stアルバム。
Distillator(ディスティレーター)からCryptosis(クリプトシス)に改名。新たな気持ちを胸にリリースするデビューアルバム、「Bionic Swarm」(バイオニック・スウォーム)。<Century Media Records>からのリリース。
13年に結成。今までに1枚のEPと3枚のアルバムをリリース。メンバー各々が音楽に対して異なるビジョンを持っていたため、ツアー中に話し合い、スラッシュメタルに縛られない自分たち独自のサウンドを追求していくことを決意!!心機一転、Cryptosis(クリプトシス)に改名し、新たな道を歩むこととなった。
今作は、Distillator時代のキレのあるタイトな演奏、殺傷力満点のオールドスクールスラッシュなスタイルはそのままに、Frank te Riet (フランク・テ・リエット)によるメロトロンがプログレッシブな質感を感じさせる#4や#7、禍々しいコードアレンジを前面に出したDEICIDEライクな#9など、新機軸となる奥深い世界観を持ったサウンドを聴くことができる。
「Bionic Swarm」のテーマは、「暴走したテクノロジーが人類を支配してしまう2149年のディストピア」ということだが、こういったSF的なテーマだったり、スラッシュメタルからスタートし、徐々に音楽性を拡大していったという部分でVoivodが好きな人は、ハマること間違い無し!!またSF的世界観という面からみるとBlood IncantationやTimeghoulなどのコズミック・デスメタル勢なんかが好きな人にも是非聴いてもらいたい!!
ミックスは、Unleashed、FirespawnのギタリストFredrik Folkare、Tony Lindgren(Kreator、Katatonia、Paradise Lost、Soilwork、Leprous、Enslaved)がマスタリングを担当。
アグレッション全開のスラッシュメタルだけではなく、プログレやデスメタル、ブラックメタルなどの要素を柔軟に取り入れたオリジナリティ溢れるメタルサウンドとなっている。早くも今年のベストに入れたくなるこのアルバム。1人でも多くの人に聴いてほしい!!
メンバー
・ Laurens Houvast(ローレンス・フーバスト):Vocal/Guitar
・ Frank te Riet (フランク・テ・リエット):Bass/Mellotron/Backing Vocal
・ Marco Prij(マルコ・プリジ):Drums
楽曲紹介
01. Overture 2149
02. Decypher
03. Death Technology
04. Prospect of Immortality
05. Transcendence
06. Perpetual Motion
07. Conjuring the Egoist
08. Game of Souls
09. Mindscape
10. Flux Divergence
#01 サイレンの音が木霊する中、暗鬱としたギターフレーズからスタート。慟哭のギターソロが鳴り響く。否が応でも期待値があがっていく!!Live映えしそうなSE。
#02 冒頭の慟哭の速弾きギターフレーズから一気に引き込まれ、デスラッシュテイストな攻撃的パートに一気に雪崩れ込む。細かく緩急つけながらも徐々に勢いを増していく。メロディックでありながら鋭利な輪郭を描くギターソロがとにかく最高にクール!!
#03 グルーヴメタル勢にも通ずるような重めなキメが印象的。高速で切り刻むというよりは、ハードコアのグルーヴを織り交ぜながら粘っこいジャブを随所に打ち込んでくるイメージ。ノリは#4への伏線か??
#04 新機軸である邪悪極まりないスローナンバー。ブラックメタル的なコード進行がクセになる。中盤からスラッシーなリフ登場し、楽曲は徐々に加速していく。目まぐるしく展開、ダレることなく最後まで聴かせる術は流石である。絵が思い浮かぶような映画的な着地の仕方が素晴らしい。
#05 冒頭から高速スラッシュリフが襲いかかる。いい意味でポップなフレーズセンスや、ハードコア由来の畳み掛けるような曲展開は、スラッシュメタルを始めて聴いた時の高揚感を思い出させる。
#06 1分弱だがアルバムのディストピア的世界観が凝縮されたインタールード。次曲から後半戦に突入。
#07 荒々しくもタイトに揃えられたバンドサウンドは、なんとなくCrist Illusion期のSLAYERを思い出させる。ディストピア感溢れるメロトロンのフレーズが印象的!!
#08 鋭利なスラッシュリフはもとよりドライブするバンドサウンドが最高にクール!!ギターの禍々しくもメタリックなリードフレーズは何度も聴きたくなる!!
#09 これまた新機軸サウンド。リフというよりはコード展開で聴かせるアレンジ。禍々しい空気感はDEICIDEの「The Beginning of the End」あたりを彷彿とさせる。
#10 若干#9の禍々しい儀式感を引っ張りながらも抜群の殺傷力を見せつける。SLAYER的疾走感の中にも時折り、うねるようなグルーヴが見え隠れする。トム・アラヤ的ハイトーンが最高!!
Thrash Metal, 音楽レビューBionic Swarm, Blood Incantation, Century Media Records, Cryptosis, Distillator, Fredrik Folkare, Timeghoul, Tony Lindgren, Voivod
Posted by msysngn
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