Gatecreeper「An Unexpected Reality」(2021)
2021年2月2日
US・アリゾナ州出身のデスメタルバンドの3rdEP。
13年に結成されたアリゾナ州出身のデスメタルバンド。作品としては絶大な支持を得た2ndアルバム「Deserted」(19)以来約2年ぶり、EPとしては「Sweltering Madness」(17)以来約4年ぶりである。彼らは、Blood Incantation、Necrot、Skeletal Remainsなどと共に、オールドスクール・デス・メタル(以下OSDM)リバイバルのバンドとして語られることが多く、Bolt Thrower、Entombed、Grave等のスウェディッシュ・デスメタルからの影響が色濃いスタイルが持ち味だ。ハードコア由来の疾走感やダーティな音像をぶちまけながらも、フレーズ自体は比較的キャッチーなので、普段、デスメタルを聴かない人にもオススメできるバンドである。
サプライズとして出された今作「An Unexpected Reality」は、Vein.fmやEndを初め、ハードコアのバンドが多く所属する<CLOSED CASKET ACTIVITIES>からのリリース。デスメタル要素は若干影を潜め、1分前後のハードコア方面に大きく舵を切った7曲+11分超えのドゥーム/スラッジ路線1曲という構成。これは、前作「Deserted」のクオリティの高さから、3rdアルバムへの期待が高まる中、
サプライズで作品をリリースしよう!!→3rdフルレングス制作はもっと集中してガッツリ取り組みたいから次回にしよう!!→なので今回のサプライズはどうせならいつもやらんスタイルで挑戦してみようかな→だから俺らの根本的なスタイルが変わったわけではないよー!!
ということのようだ!!Gatecreeperのルーツであるスウェディッシュ・デスメタルシーンは、ハードコアシーンと共に発展してきたのでハードコアに振り切った作風にも納得だし、今までの作品でもドゥーム/スラッジ要素を内包した作品は存在していたから、11分超えの長尺曲という形でしっかり聴けるのは素直に嬉しい!!
こういったいつもと趣向の違う作品だからこそバンドの魅力が思わずダダ漏れになってしまうことが往々にしてある。(”いつもと趣向の違う作品”という意味ではAnthraxの企画盤「Attack of the killer B’s」はバンドの魅力が十二分に伝わってくる名盤)今作はファストな展開なのでドロっとした不穏な要素はカット。(ラスト曲からは若干感じるが)それでいてキャッチーな部分はしっかり残っているので、Gatecreeperの入門編としてもオススメできる作品となっている!!
エンジニアはRyan Bram、ミックスはConvergeの(Gt)Kurt Ballou、マスタリングはAlan Douchesが担当。
Anti Cimex、Entombed、Grave、Trap Them、Vein.fmなどが好きな人にオススメしたい!!
メンバー
・ Chase “Hellahammer" Mason(チェイス"ヘラハンマー”メイスン):Vocal
・ Eric “The Dark Cowboy" Wagner (エリック"ザ・ダーク・カーボーイ”ワーグナー):Guitar
・ Israel Garza(イスラエル・ガルザ):Guitar
・ Sean “Hell Mammoth" Mears(ショーン”ヘル・マンモス”ミアーズ):Bass
・ Matt “Thunder Rage" Arrebollo(マット”サンダー・レイジ”アレボロ):Drums
楽曲紹介
01. Starved
02. Sick of Being Sober
03. Rusted Gold
04. Imposter Syndrome
05. Amputation
06. Depraved Not Deprived
07. Superspreader
08. Emptiness
#01 ベースがグイグイ引っ張っていくハードコア由来のバイブスを感じる。デス/ブラックのブルータリティとクロスオーバースラッシュ勢を彷彿とさせるキャッチーなリフワークが聴くものを鷲掴みにして離さない!!ついつい拳を握ってヘッドバンギングしてしまう!!
#02 冒頭から自室で1人サークルモッシュしてしまった・・・オールドスクールなギタースタイルが最高にクール!!
#03 音圧エグめのサウンドで抉り込んでくる冒頭!!カオティックなトレモロサウンドと疾走感を随所に織り交ぜながら昨今のハードコア〜デスコアの重さも全面に押し出している。
#04 冒頭のハウリングノイズでご飯三杯いただきました。禍々しいフレーズ〜ツーバスドコドコ疾走パートの流れはもう何かのご褒美ですか!!
#05 冒頭からエグいリフが炸裂!!Vein.fm、Chamber、Jesus Peaceあたりと共通するセンスを感じる。
#06 グルーヴィなノリを活かした冒頭からブラストビートとツービートを使い分けながら短い中にも様々な景色を魅せてくれる!奥行きのある楽曲!!
#07 キメ!キメ!キメ!なニュースクールハードコア感のある一曲!!これまた室内モッシュ必至!!(やめましょう)
#08 ヘヴィなリフによるスラッジ/ドゥーム系世界観の楽曲。慟哭のリードギターが入ることで美と醜の絶妙なバランスが聴くものの心を掴んで離さない!!昨今のプログ・メタルとはまた違うオールドスクールで野蛮な匂いを残した構築美はクセになる!!
参考資料
・ヘドバンvol.26 2020年3月31日発行(発行 シンコーミュージック・エンターテイメント)→GATECREEPER チェイス・メイスン(Vo)インタビュー
※「Deserted」(19)リリース後のインタビュー。生い立ちやバンドの成り立ち、現在のシーンに対する考えなどが語られている。
・REVOLVER GATECREEPER ON BREAKING RULES AND TAKING “A DETOUR" WITH SURPRISE EP https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&tl=ja&u=https%3A%2F%2Fwww.revolvermag.com%2Ftags%2Fgatecreeper&anno=2&prev=search
Death Metal, 音楽レビューAlan Douches, An Unexpected Reality, Anti Cimex, Blood Incantation, Bolt Thrower, Closed Casket Activities, Deserted, End, Entombed, Gatecreeper, Grave, Jesus Peace, Kurt Ballou, Necrot, Ryan Bram, Skeletal Remains, Trap Them, Vein.fm, スウェディッシュ・デスメタル
Posted by msysngn
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