Palm Reader「Sleepless」

UK・ノッティンガム出身のポストハードコアバンドの4thアルバム。


11年に結成されたUK・ノッティンガム出身ポストハードコアバンドPalm Reader(パーム・リーダー)。絶賛された前作「Braille」(08)リリース以降、ConjurerとのスプリットのカヴァーEPを挟み、2年ぶりのリリースとなる4thアルバム。<Holy Roar Records>からのリリース。


Palm Readerは、活動初期は、Dillinger Escape Planをはじめとするカオティック・ハードコアにGallowsなどにも通づる力強いパンク/ハードコアをミックスしたような音を鳴らしていたが、前作Braille」(18)あたりからポスト・ハードコア方面にシフト。去年リリースされたConjurerとのスプリットカヴァーアルバムでThriceの曲をカヴァーしていたことからも分かる通りメランコリックで繊細なアレンジと長年培ってきた振り切ったアグレッションが現在のPalm Readerの持ち味だ。

プロデュース、ミックス、マスタリングはConjurer/Employed To Serve/Loathe/Svalbardなど、現在ハードコアシーンで注目されている名だたるバンドを手がけてきたLewis Johns。

強力なリズム隊(特に今回、楽曲を引っ張るシーンも多い、存在感あるベースサウンドが印象的)2本のギターによるポストロック/ポストメタル的アプローチで、透明感あるフレーズやアトモスフェリックな空気作りを随所で聴かせてくれる。今年話題になったバンドでいうとLoatheSvalbardなど激しいだけじゃない、奥行きのある”しっかり聴かせるバンド”が好きな人にオススメだ。


メンバー

・ Josh McKeown(ジョシュ・マッキーン):Vocal

・ Andy Gillan(アンディー・ギラン):Guitar

・ Sam Rondeau-Smith(サム・ロンドースミス):Guitar

・ Josh Redrup(ジョシュ・レッドラップ)Bass

・ Dan Olds (ダン・オールズ):Drums

楽曲紹介

01. Hold/Release

02. Stay Down

03. Ending Cycle

04. Willow

05. A Bird and It’s Feathers

06. Islay

07. False Thirst

08. Brink

09. A Love That Tethers

10. Both Ends of the Rope

#01 メランコリックなフレーズがループする中、他の楽器が徐々に音を重ねていき楽曲の輪郭が明らかになっていく。激情でありながら繊細さを持ち合わせているサウンドはThriceThursdayあたりのポストハードコア勢に通ずるものがある。

#02 イントロや曲中に登場する勢いたっぷりのSystem of a Downライクなリフが印象的!!リフだけで持ってってしまうとはさすが!!割と大きくコード感を出してくる疾走感あるパートとの対比で、より楽曲に奥行きが生まれたと思う。

#03 唸るベースが特徴的な、強力なリズム隊とメランコリックなシンセの絡みは、Thriceを彷彿とさせる。引きの美学を感じさせる曲。

#04 ポストロック風のイントロからプリミティブなリズムへ。Opeth系のコード進行にガラッと変わるところが面白い。妖しげなエレクトロサウンドがなんとも印象的!!

#05 声質の雰囲気と仄暗い世界観からex-Dillinger Escape PlanのGreg Puciato(Vo)のソロアルバムを連想した。無機質な音と肉体的な声の対比が面白い。

#06 #5のダウナーな音を引きずったまま突入。音数は少ないが、ダウナーな質感を引きずっているからか、ヘヴィな印象を受ける。

#07 ポストロック的な繊細で凝った音使いのギターの音色が印象的。

#08 ギターによる抒情的なコード進行の中、力強くうねるベースラインが躍動感を感じさせる。

#09 力強いギターのコードストロークが印象的。熱のこもったバンドサウンドから静かで繊細なサウンドスケープへの展開は面白い。奥行きが感じられる楽曲!!

#10 哀愁を感じさせるアルペジオと熱いギターリフの絡みがヘヴィでありながらも色鮮やかな印象を受ける。図太いベースがぐいぐい引っ張っていく楽曲は繊細であると同時に躍動感みなぎるサウンドとなっている。