White Stones「Kuarahy」(2020)

2020年5月19日

Opethのベーシストによるデスメタルプロジェクトのデビューアルバム。


OpethのベーシストであるMartín Méndez(マーティン・メンデス)によるソロプロジェクトWhite Stones(ホワイト・ストーンズ)のデビューアルバム「Kuarahy」(読みは”クワライ”でネイティブなウルグアイ人の間では”太陽”を意味する)を<Nuclear Blast>から20年3月20日リリースされた。グルーヴィなベースが特徴的なゴシックデスメタルアルバム。

Martín Méndezは、プログレッシブメタルバンドOpethに97年に加入、4thアルバム「Still Life」からレコーディングに参加、バンドの中心人物Mikael Åkerfeldt(ミカエル・オーカーフェルト)に続く、古参メンバーとして知られている。Opethの活動中に作曲をしていたMartín Méndezは、「Sorceress」(16)のツアー終了後取った1年の休暇期間中にバンドを結成。

Martín Méndezは、17歳で祖国ウルグアイを離れ、長い間スウェーデンのストックホルムに住んでいたが、近年ははスペインのバルセロナに移住。当初Martín Méndezは、ボーカルを担当しようと思っていたが、バルセロナで知り合ったデスメタルバンドVIDRES A LA SANGのシンガーで、Farms of Soundsスタジオを経営しているEloi Boucherie(エロイ・ボウシェリー)と知り合い、彼にボーカルを依頼。さらに、ドラマーは、EREDVIDRES A LA SANGSHEIDIMなどで知られるJordi Farré(ジョルディ・フォッレ)が参加。

Martín Méndez自身がベースとギターをプレイしたこの作品は、ヘヴィでグルーヴィなベースを軸にしたゴシックのムードのあるデスメタル が展開されている。ギターに関しては、主にフェンダーのストラトキャスターを使用している為、いわゆる音圧で聴かせるようなモダンなデスメタルスタイルとは全く違う質感の作品に仕上がっている。また、歪みの効いたグルーヴィなベースプレイは、流れるように展開するOpethとは違い、一発一発力強いパンチを打ち込むかのような強烈なグルーヴを生み出している。曲によってはOpethにも通じるプログレッシブな楽曲があるので、”デス成分を欲しているOpethファン”に強く、オススメしたい。
ギターソロに関してはOpethFredrik Åkesson(フレドリック・オーケソン)がプレイ、「The One」のソロのみBloodbathKatatoniaのメンバーだったPer Eriksson(パー・エリクソン)がプレイしている。


メンバー

・Eloi Boucherie(エロイ・ボウシェリー): Vocal

・Martín Méndez(マーティン・メンデス):Bass、Guitar

・Jordi Farré(ジョルディ・フォッレ):Drums

ゲスト

・Fredrik Åkesson(フレドリック・オーケソン):Guitar Solo

・Per Eriksson(パー・エリクソン):Guitar Solo

楽曲紹介

01. Kuarahy

02. Rusty Shell

03. Worms

04. Drowned In Time

05. The One

06. Guyra

07. Ashes

08. Infected Soul

09. Taste Of Blood

10. Jasy

#1  そのままアルバム名が名付けられているこの作品の幕開けとなる一曲。約1分半のコンパクトなインスト曲だが、冒頭から醸し出される緊張感ある雰囲気と、徐々に露わになるトライバルなビートで一気にアルバムの世界に持ってかれてしまう。

#2 #1からの流れるを断ち切ることなくなんとも裏打ちが特徴的な邪悪なリフが炸裂する 強烈なデスボイスが炸裂。近年、クラシックなプログレ方面に大きく舵を切ったOpethの中にあって、やはり彼はデスメタルがやりたかったんかな?と思ってしまうほどに邪悪な雰囲気。曲はOpethにみられる、悲壮感漂うメロディックなリフとプログレッシブな展開が聴くものを曲の世界に連れて行ってしまう。

#3 #2同様スローテンポで聴くものをじっくり攻め立てる。Opethは流れるような展開を見せるが、彼らはねちっこい一個一個のパンチ力のあるリフでグルーヴを作っているような気がする。しかし、音も決して最近の重低音を強調した音というわけではなく、むしろクラシックなHR/HMサウンドに近い。

#4 彼岸を見つめるようなブルージーなギターサウンドからの悲鳴!!というなんともショッキングな展開から幕を開ける。終始ツーバス踏みっぱなしが妙に印象的な曲。子供達の声もコラージュされていたりと、場面場面のアレンジが細かく、聴くたびに新たな発見がある。

#5 怪しげな雰囲気のリフが空気を支配していく。Per Erikssonによる雄叫びをあげるかのようなアーミング奏法からのギターソロは決して派手では無いものの、曲の表情をより引き出す、重要な役割を担っている。

#6 トライバルなビートを基調にした楽曲。雰囲気たっぷりのリフとプログレッシブな楽曲展開に、息を呑むこと間違いなし。

#7 バスドラ連打&歪んだベースによる刻みリフの上をギターが不気味な色合いのフレーズで彩っていく。昨今の音圧過多の詰め込みタイプの逆をいくサウンドには彼らの自信を感じる。

#8 Opethの「Morningrise」あたりに入ってそうななんとも怪しげなギターフレーズが徐々に世界観を構築していく。まさに本家を思わせるプログレッシブな一曲。タイトル通り魂の込められたギターソロが印象的。

#9 ツインギターによるフレーズの抜き差しにより空間を感じさせるアプローチがなされている。トライバルな雰囲気のギターソロがなんともカッコいい!!

#10 不穏な鐘の音が響く中、Opethでもよく聴かれるギターによるアコースティックなアルペジオが静かに物語を紡いでいく。

音楽性としては、Mefisto~Opethの流れを汲むプログレッシブデスのスタイルにトライバルな要素を加えたような印象を受けた。クラシックなHR/HM要素高めのストラトキャスターによる、ギターの粘っこい歪みは正直好き嫌いが分かれそうではあるが、その分、フレーズが明瞭に聴こえ、モダンなメタルとはまた違った、力強さを感じさせる。とにかくリフがかっこいいのでOpethファンはもちろん全メタル否・・・全ロックファンに聴いてもらいたい。