Code Orange「Underneath」(2020)

2020年5月19日

ペンシルヴァニア産ハードコアバンドによる3年ぶりの4thアルバム


08年、ペンシルベニア州ピッツバーグにて「Code Orange Kids」という名前で結成。

当時、高校生だったので、学業の合間を縫いながら地道にツアーを行い、ANTI-FLAG(アンタイフラッグ)MISFITS(ミスフィッツ)のサポートアクトを務め、12年に、CONVERGE(コンバージ)Jacob Bannon(ジェイコブ・バノン)が主催するレーベル<Deathwish.inc>と契約。同年にデビューアルバム「Love Is Love/Return to Dust」を、14年に「Code Orange」と改名し、2ndアルバム「I Am King」をリリース。

ストレートなハードコアサウンドとドゥーミーなヘヴィネスで恐るべき10代としてアンダーグラウンドシーンにて評価を得る。

17年には<Roadrunner Records>と契約し、移籍第一弾作品として、3rdアルバム「FOREVER」をリリース。グラミー賞「Best Metal Performance」部門へのノミネート、Rolling Stone誌を始め、各メディアから17年ベスト・アルバムに選出されるなどオーバーグラウンド/アンダーグラウンド問わず高い評価を得ている。

今作は、過去3作を手掛けたConvergeのギタリストKurt Ballow(カート・バルー)が制作から離れ、Vocal/DrumsのJami Morgan (ジャミー・モーガン)+グラミー賞受賞歴有り、DEFTONESFOO FIGHTERSのプロデューサーを務めたNick Raskulinecz(ニック・ラスクリネクツ)+前作「Forever」でもタッグを組んだWill Yip(ウィル・イップ)の共同プロデュースだ。

アディショナル・プログラミングをNain Inch NailsMarilyn MansonでもプレイしているChris Vrenna(クリス・ヴレンナ)が担当。ミックスはWill Yipとkeyboard/Programing担当メンバーのEric “Shade" Balderose (エリック"シェイド"バルデローズ)が担当している。

私は、前作「Forever」からこのバンドを聴き始めた。ハードコアかつどす黒くドゥーミーなサウンドと、この手の音楽にしては珍しく、多様されるサンプリング音の組み合わせに衝撃を受けたが、今回はさらにインダストリアルノイズや音飛びのようなブツ切りのサウンド加工、カオティックコアにも通じる混沌とした音が縦横無尽に暴れまわる中、ニューメタル世代のHipHopライクなノリを産むためのサンプリング音ではなく、リスナーを困惑させ、恐怖させるために、そして曲によっては世界観を決定づける重要なファクターとしてサンプリング音が使われている点が印象的だった。音楽ルーツとなるバンドからの影響が所々に垣間見れるものの、それらの要素をバラバラにして複雑に組み替えたような、そして一歩踏み外せば崩壊してしまうような、ギリギリのバランスで成り立っているブレーキの壊れた異形の音塊が襲いかかる。


メンバー

・Jami Morgan (ジャミー・モーガン):Vocal、Drums

・Reba Mayers (リーバ・メイヤーズ):Guitar、Lead&Backing Vocal

・Eric “Shade" Balderose (エリック"シェイド"バルデローズ):keyboard/Programing、Backing Vocal

・Dominic Landolina (ドミニク・ランドリナ):Guitar

・Joe Goldman (ジョー・ゴールドマン):Bass

レコーディングのリードボーカル&ドラムJami Morgan。現在、Liveではサポートドラマーを入れて、Jami Morganが前に出て歌っている。ドラマーがLIVEではボーカルになる!!という珍しいバンド形態!!

サイドプロジェクト!?Adventures

Code OrangeメンバーのReba MayersJami MorganJoe Goldmanを中心に友人のKimi HanauerDominic Landolina現在はCode Orangeメンバー)により12年から16年まで活動していた”ほぼCode Orange”のバンド。90sオルタナバンドのテイストが強い、甘酸っぱくどこか懐かしいサウンドはある意味、Code Orangeとは真逆のスタイル。Reba Mayersによる気怠げな歌からは、Code Orangeでは見せない、より等身大の感情が垣間見える。Teenage FanclubThe LemonHeadsPity Sexなどが好きな人はぜひ聴いてほしい!

楽曲紹介

01. (Deeperthanbefore)

02. Swallowing the Rabbit Whole

03. In Fear

04. You and You Alone

05. Who I Am

06. Cold.Metal.Place

07. Sulfur Surrounding

08. The Easy Way

09. Erasure Scan

10. Last Ones Left

11. Autumn and Carbine

12. Back Inside the Glass

13. A Sliver

14. Underneath

#1 不穏なSEからスタート。実はこの曲は18年に出したEP「The Hurt Will Go On Single」のエンディングから続いている。

#2 音のバランスを巧みに調整したり、トリッキーな音が飛び交うなど空間を意識した音の配置が印象的。押し一辺倒なメタルリフだけじゃない、立体的に感じる音や針跳び演出に異様な緊張感を感じる。タイトルの「Swallowing The Rabbit Whole」に込められた「ウサギを丸ごと飲み込む」と「ウサギの穴に飲み込まれる」というダブルミーニングにも注目。

#3 Miss Machine期のDillinger Escape Planを彷彿とさせる部分あり。破壊衝動を煽られる電子音ノイズとグルーヴィーな演奏が一体となりひたすらに止まることのない暴走マシンは暴れ続ける。断末魔の叫びをあげながら・・・

#4 曲間無く、雪崩れ込む。日本の映画から引っ張ってきたという「タダヒトリ・・・」というセリフが独特な世界観を作り出している。刻み全開のリフが、曲の持っている冷たさをより引き出している。

#5 #4のホラー感を引き継いだまま、Nine Inch Nailsを彷彿とさせるマシーナリーなドラムが印象的な楽曲。Alice in Chains感のある気怠げなVoとカオティックな雰囲気のバンド演奏との組み合わせがなんとも面白い。 

#6 粘りっ気のあるグルーヴで引っ張っていく。サンプリングや音飛びといったものがただの飛び道具に収まらず、当たり前のように曲の一部として意味をもって組み込まれていることに改めて驚き!だし、痛快な気分にさせられる。

#7 熱いギターからスタートする。こちらもどこかDillinger Escape Planを彷彿とさせるがこちらはより間を大事に、攻めるところは徹底して攻めるメリハリを大事にしている印象。

#8 インダストリアルメタル風セクションから爆発力のあるキャッチーなサビの流れがなんとも気持ち良い。一旦トーンダウンする箇所も、奇妙なSEを差し込むなど、抜かりのないアレンジ。アウトロの音飛び的な箇所が入ることで、この楽曲が延々続くような錯覚に陥る。何度も聴いてしまう曲。

#9 デスラッシュ風の楽曲。ピッキングハーモニクスを織り交ぜたリフがカオティックな世界を作り上げている。リズムの緩急をつけていくことでより殺傷力を高めていく。

#10 スラッシーなリフとこれまたハーモニクス混じりのリフカッコいい!!Code Orange流グルーヴメタルだろうか??

#11 歌の雰囲気がどことなくAlice in chainsKornの雰囲気に近く、実はオルタナ鬱ロック系譜の流れも汲んでいる。彼ら音楽的な懐の深さが感じられる。

#12 音飛びだのサンプリングだのがとにかく暴力的なまでに聴くものに襲いかかってくる。目に入るもの全て食いつぶすような攻撃性を持った曲。

#13 リフものではなく、空間を生かした音楽。ポストメタル的でもあり、アトモスフィア全開でその筋のファンはたまらないだろう!!個人的にはかなり大好物な楽曲。

14 機械の稼働音の様な音が印象的な楽曲。熱を帯びるサビと対照的な機械音がそのまま今回のアルバムのコンセプト「人間の二面性」を表している。機械/肉体という相反するサウンドが融合することで、感情が何倍にも増幅し、まるで生き物のように動き続ける音塊。

メタルやハードコアはもちろん、インダストリアルやシューゲイザー、グランジ、マスロック、HipHopや実験音楽等々あらゆる音楽的ルーツがぶち込まれ、2020年現在、最も良質で危ないエクストリームミュージックに仕上がっている。鬱屈した生活が強いられるこんな毎日だからこそ、彼らのアルバムを聴いてほしい。何かが変わるかも知れない。