Baroness「Gold&Grey」(2019)
2020年10月29日
アメリカはジョージア州サバンナ出身のアート・メタルバンド
03年半ばに結成、ロックバンドのJohnny Welfare(ジョニーウェルフェア)とThe Paychecks(ペイチェック)の元メンバーによって結成。フロントマンのJohn Dyer Baizley(ジョン・ダイアー・ベイズリー)は全てのアートワークを作成。他のバンドのアートワークも手掛けている。
07年9月に最初のフルレングスアルバム「Red Album」をリリース。Kylesa(カイリサ)のPhillip Cope(フィリップ・コープ)がプロデュースを手がける。
09年10月13日、John Congleton(ジョン・コングルトン)のプロデュースにより2枚目のアルバム「Blue Record」をRelapse Recordsからリリース。
幾多のメンバー交代や、ツアー移動中のバス事故などを乗り越え、(Ba)にNick Jost(ニック・ジョスト)、(Dr)にTransamのSebastian Thomson(セバスチャン・トムソン)が加入。17年6月1日、(Gt)のPeter Adams(ピーターアダムス)がバンドを去り、代わりにGinavGleason(ジーナ・グリーソン)が加入することで現在のメンバーが揃う。
15年「Purple」は12月18日に自身のレーベル「Abraxan Hymns」にてリリース。17年「Purple」のトラック「shock me」がGrammyAwardsでBest Metal Performanceのグラミー賞にノミネートされた。
今作「Gold&Grey」も前作「Purple」同様、Dave Fridmann(デイヴ・フリッドマン)がプロデュース。MERCURY REVのオリジナルメンバーで、今までにThe Flaming LipsやMGMT、Weezerなどの作品を多く手掛けている。日本のバンドではNUMBER GIRLやZAZEN BOYS、MASS OF THE FERMENTING DREGS、ART-SCHOOLなどを手がけてきた。Dave Fridmannは奥行きや広がりに定評のあるプロデューサーだが、今作はそんな彼の持ち味が作品の魅力を十分に引き出しているように思う。
バンドの紅一点ギタリストCina Gleasonはシルクドソレイユのクリエイション・キャストでもあった実力派。実はMisstalicaという本家Meatallica公認のガールズカヴァーバンドのVo&Gtでもあります。↓↓↓Baronessサウンドを支えるギタリストGina Gleason(ジーナ・グリーソン)
メンバー
・John Dyer Baizley(ジョン・ダイアー・ベイズリー)-Vocal(Gu・key・Perc)
・Gina Gleason(ジーナ・グリーソン)-Lead Guitar・Backing Vocal(上に同じ)
・Nick Jost(ニック・ジョスト)-Bass・Backing Vocal(上に同じ)
・Sebastian Thomson(セバスチャン・トムソン)-Drums(上に同じ)Trans Amにも所属
楽曲紹介
1.Front Toward Enemy
2.I’m Already Gone
3.Seasons
4.Sevens
5.Tourniquet
6.Anchor’s Lament
7.Throw Me An Anchor
8.I’d Do Anything
9.Blankets of Ash
10.Emmett-Radiating Light
11.Cold Blooded Angels
12.Crooked Mile
13.Broken Halo
14.Can Oscura
15.Borderlines
16.Assault on East Falls
17.Pale Sun
#1 躍動感漲るヘヴィなリフから幕を開ける。各楽器がスピーディにアレンジを切り替え、目の前の景色は幾度も塗り替えられていく。アグレッシブながら歌のメロディを大事にする彼ららしい曲。
#2 ニューメタル?的な雰囲気のあるドラムとギター、ループするベースラインが印象的な曲。とスッと挿入される泣きのギターフレーズと歌のハーモニーが痺れます。
#3 2の雰囲気を若干残しつつ、グルーヴィーでありながら忙しげなビートが印象的なミドルテンポ楽曲。彼らの持ち味である攻撃性とメロディセンスが上手く共存している。NWOBHM感のあるギターフレーズには思わずニヤリ。
#4 Baroness風NEW AGE。こういった奥行きを感じさせるサウンドはプロデューサーのDave Fridmannの得意とするところなのだろう。 どことなくMercury Revを思い出させる世界観の曲。
#5 密室的な宅録SSW系サウンド→オルタナバンドサウンドへ 音楽的なバックグラウンドの広さが垣間見える。導入部分の雰囲気からどんどん展開していく。「4畳半から宇宙まで」みたいなイメージでとにかく聴いていてワクワクする。
#6 5からシームレスに繋がるため5.6で1つの曲の様に感じた。映画で例えると5が本編で6がエンドロールみたいな感じ。
#7 宇宙とかSFを連想させるギターフレーズが印象的。随所随所で差し込まれる異星人系トラックとサビのカラッとした陽性のメロディの対比が印象的。
#8 リズム隊はお休み。鍵盤とアコギによる伴奏を軸にウワモノの細かいアレンジで成り立っている"聴かせる"楽曲。歌剥き出しのアレンジが力強く、何度も聴きたくなる!
#9 グリッチノイズ塗れのフォークトロニカのような雰囲気の小曲。
#10 アコースティックギターと歌を中心とした幻想的な世界感。虫の鳴き声?の音が効果的に使われていて、日本人にも通じる情緒を感じさせます。
#11 クラッシックギターによる指弾きのマイナーフレーズから男女混声による歌声のハーモニーが素晴らしい。エフェクトのかかったドラムの音がサイケ感を演出し、徐々に音のレイヤーが重なり悲しげな音を作っていく。最後はバンドサウンドによる力強いアレンジになるのだが、、私は儚い印象のまま終わっても良かったのでは??なんて思ってしまった。
#12 Cynicみたいな世界観から力強いリフがグイグイ引っ張っていく展開。オルタナ系の8ビートもの??今回のアルバムの中では比較的メタル濃度の濃い楽曲かもしれない。
#13 派手なドラムフレーズと攻撃的なザクザクギターリフ、そしてグッドメロディな歌メロがとにかく熱い!!ALTER BRIDGEなんか好きな人にオススメ!
#14 おそらく2種類のドラムパターンをステレオで振り分けしてあり、ひたすらループする実験的なインスト曲。
#15 タッピング系フレーズとうねるベースラインが印象的な曲。広大な荒地に置いてけぼりにされる絵が頭から離れず。。。でなんでかというと、、ゼンッゼン関係ないけど「Borderlines」という曲名と「冒頭何かイヤーなノイズ音とヘリのプロペラ音?ぽい音」からベニチオ・デル・トロでお馴染みの映画「ボーダーライン」を連想していたからでした。。。
#16 なんとなくKlaus Schulze みを感じる曲。クラウトロックなんか好きな方にもオススメしたい!
#17 とにっかくコーラス最高。でこのバンドのハーモニーの中でのベースの存在感がすごい!!特にこれからベースを弾きたいと思ってる人は聴いてみてほしい!!かっこいいから!!曲中に流れるノイズ音とか若干クラウトロック感もある気します。
演奏スタイルはメタルを始め、多岐に渡るのですが、音そのものはもしかしたらメタルというよりもポストハードコアに近い部分もあるかもしれないなと思いました。そしてフリーキーな曲展開なんかはThe Mars Voltaなんかを少し思い出します。
なので誤解を恐れずに言えば、メタルの音が苦手な人でも違和感なく聴けるのでは??と思いました。また、こういった界隈のバンドにしては珍しく、歌を大事にしている。そしてシャウトやデスボイスがないという点も幅広い人に興味を持ってもらえるのかなと思います。
アート・メタルというとなんだか「敷居が高いんじゃないか?」なんて思ってしまいますが、そんなことはまっっっっったく無くて、間口は広いし、奥行きも広い、何回でも聴きたくなる良質なロックアルバムだと思います!
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Posted by msysngn
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