Justice For The Damned「Pain Is Power」(2020)

2020年10月29日

オーストラリアはシドニー出身のデスコアバンドの2ndアルバム。


Justice For The Damned(ジャスティス・フォー・ザ・ダムド)は、11年に結成されたオーストラリア産のダウンテンポデスコアバンド。12年にバンドは、シングル「Copthrone King’s」をリリース。その後、毎年、年に1枚〜2枚のシングルを発表。17年8月に、1stアルバム「Dragged Through the Dirt」をリリース。19年にバンドはニュージャージーに拠点を移し、2ndアルバム「Pain Is Power」(ペイン・イズ・ウォー)を録音。20年6月にリリース。

今作、「Pain Is Power」は前作の延長線上の作風である、ダウンテンポデスコア(ダウンテンポとは、ブレイクダウンなどのモッシュパートを中心に作られた楽曲。多弦ギター/ベースを使ったヘヴィな曲調の物が多い。スロウ/ミドルを中心とした楽曲が多い。)が中心だが、彼らの場合は、+メタルの旨味がしっかり楽曲に込められている点にオリジナリティがある。#3,#5,#7のようなイントロからギターキッズが引き込まれるようなギタープレイは、デスコアバンドではなかなか珍しいように感じる。また#6や#8ではブラックメタルからの影響が垣間見える寒々しいリフをプレイするなど、エクストリームメタルからの影響を彼らなりに昇華させながらオリジナリティのある楽曲を作っている。Kublai Khan TX,Insvrgence,Spiteあたりのバンドが好きな人には特にオススメ!!

今後、ダウンテンポデスコア+メタルのスタイルでどのような面白い楽曲を作ってくれるのか?とても楽しみだ。


メンバー

・ Bobak Raffiee(ボバック・ラフィー):Vocals

・ Nic Adams(ニック・アダムス) :Guitars

・ Kieran Molloy(キーラン・モロイ) :Guitars

・ Ben Mirfin(ベン・ミルフィン):Bass

・ Chas Levi(チャス・レヴィ):Drums

楽曲紹介

01. Guidance from the Pain

02. Pain Is Power

03. Final Cataclysm

04. No Peace at the Feet of Your Master

05. The House You Built Is Burning

06. Machine of War

07. A crimson Painting

08. Sinking Into the Floor

09. Blister of the Plague

10. Die By the fire

#1 冒頭の鼓動を打つような力強いドラミングから非常にプリミティブなパワーを感じるバンドサウンドが鳴らされる。アルバムの幕開けに相応しい一曲。

#2 図太い杭を打ち込むかの如く力強いメタル系サウンド特有のキメ!そこに不協和音を奏でるギターがカオティックな色を加えていく。ひたすら頭を振るしかない直下型ダウンテンポ。

#3 メロデス系にも通ずる慟哭のメタルリフが印象的。このバンドはダウンテンポ系にありがちなグルーヴやノリで押し切らずに、しっかりリフに拘りを持っているところが最高に好感が持てる!!ダウンテンポ+デスメタルといったころか??ハードコアだけじゃなくメタルの軸もしっかりあるのが素晴らしい!!

#4  グルーヴメタル譲りの力強いリフにひたすら身を任せていたい楽曲。意外にポップなリフメロも相まって、極悪ダウンテンポにいつまでもハマっていたくなる。

#5 イントロのブルータル汁が滴っているギターフレーズとリズム隊ユニゾン部分がとにかくクール!!で何度でも聴いてしまう!!ダウンテンポに限らずデスコア系でフレーズ一発で持ってってしまうような求心力のあるメロを奏でるバンドがなかなかいないのでこれは貴重!!(そもそもメロ云々というジャンルではないですが・・・)

#6 ブラックメタル的な要素も感じるブラストパートを経てミドル/スロウでネチネチと攻める。幾度もリズムチェンジを繰り返しながら様々な場面を見せてくれる。なぶるような攻めぶりは何となくSlayerの「God Hates Us All」に通じるものがある。

#7 これまた冒頭に弾かれるメインテーマのクラシカルなギターフレーズ!!これはギターキッズはコピーしたくなること間違いなしでしょう。振り切れたアグレッションと重心低めのヘヴィなリフがブルータリティに拍車をかける。頭を振らずにはいられない!!

#9 ひたすらバンドのグルーヴで引っ張っていく曲。中盤あたりで入ってくるノイズ混じりのリフはどこかGojiraを彷彿とさせる。またPanteraMachineheadが好きな人にもぜひ聴いてもらいたい。

#10 ミドル/スロウでひたすら攻め込むスタイル。これぞダウンテンポデスコア!と言わんばかりの重さとブルータリティ。デスメタルもノイズもメタルコアも、何もかんも混ぜ込んで凶器と化した音が襲い掛かる。

彼らのサウンドは、ダウンテンポデスコアでありながら、メタル的なフレーズや展開も多く、ハードコア/メタル両方のファンからアクセスしやすいバンドだと思う。ブルータルなサウンドだが、以外にポップなところもあるので一度火がついたら一気にブレイクしそうだ。早くも今年のベストにあげている方もちらほらいるので、こんな社会情勢だからこそ、家にこもってゆっくり聴いてみるしかないでしょう。