Sorry「925」(2020)

2020年5月19日

ノース・ロンドン出身のUKインディ・オルタナバンドのデビュー・アルバム。


Sorryは、幼馴染みであるAsha Lorenz(アーシャ・ローレンス)Louis O’Bryen(ルイス・オブライエン)を中心に、ベースのCampbell Baum(キャンベル・バウム)、ドラムのLincoln Barrett(リンカーン・バレット)を加えて結成されたノース・ロンドンのバンドだ。

Arctic Monkyesを輩出した英国最大の名門レーベル<Domino>と契約。

サウス・ロンドンウィンドミルというベニューを中心に、ShameGoat GirlHMLTDといった今勢いのあるバンドたちとシーンを盛り上げている。➡︎(詳しくは【短期集中連載②】英国インディ・ロックの新たな震源地=サウス・ロンドンの実態をその当事者に訊く:ウィンドミル編Sorryが他のバンドと違うのは、今の時代としては珍しく「ライヴ・パフォーマンスよりもスタジオワークに力を入れている」という点だ。

彼らは多作で、これまでにシングルやミックステープなど10を超える楽曲を発表してきた。同じシーンにいるバンドが次々とアルバムをリリースし、来日公演なども行う中、彼らは作りたい音を作るために、スキルを磨き、コツコツと楽曲を発表しながら自分たちの道を歩んできた。

GorillazJamie Tなどを手掛けたJames Dringをプロデュースに迎え、作られた今作「925」。音を聴くと、グランジやローファイといったキーワードが浮かぶが、ビート感や音の加工の仕方に10年代以降のHipHopの影響も強く感じる。ところどころサイケデリックな仕掛けもあり、スリリングで遊び心のあるアルバムだ。今回は、Hermann HesseAphex TwinTony Bennettなど、あらゆるものから影響を受けたということだが、様々な要素をHipHop的に編集し、新たな音楽として再構成しているような印象も受けた。

彼らは楽曲だけではなく、MVやアートワークなども自分達でこだわりを持って作っている。スタイリッシュでカッコイイ。

メンバー

・Asha Lorenz(アーシャ・ローレンス):Vocal、Guitar

・Louis O’Bryen(ルイス・オブライエン):Vocal、Guitar

・Campbell Baum(キャンベル・バウム):Bass

・Lincoln Barrett(リンカーン・バレット):Drums

楽曲紹介

01. Right Round the Clock

02. In Unison

03. Snakes

04. Starstruck

05. Rosie

06. Perfect

07. As the Sun Sets

08. Wolf

09. Rock 'n’ Roll Star

10. Heather

11. More

12. Ode to Boy

13. Lies(Refix)

#1 場末のキャバレー感満載の1曲目。様々な音が飛び交う。なんとなく音の抜き差しやビートの感じがあたり前にHIPHOPを消化しててそーだよねとなる。⬆︎MVの曲。

#2 今までの流れを断ち切るような1:49のご臨終サウンドからの冒頭のテーマに戻るあたりが鳥肌モノ。もうひたすらにニヤニヤしてしまう。

#3 不協和音めいたバックトラックから1:48あたりから突如挿入されるトラップがなんともクール。聴いてるうちにトリップしそうなサイケデリアがひたすらに続く。

#4 キックの音や頭おかしそうな不穏なギターの音色、サンプリングされた声ネタなど一見王道UKロック風に始まるもよく聴きゃそこらじゅうがサイケに毒されている。(褒め言葉)

#5 音のバランスやら多種多様な音が入り乱れてるが、特にキックの音が特徴的。白昼夢を見ているような感覚に陥る。

#6 細かいところで歌声にエフェクトをかえたり、音色の細かい部分にしかけが施してあるので何回聴いても新たな発見がある。

#7 Blonde Redhead感を感じる曲。メランコリックなコード感と浮遊感。中盤落ち着いた展開を見せるなど展開に工夫されていて面白い。

#8 場面が目まぐるしく変わっていく中でも一貫した世界観があり、変に奇をてらった印象はない。キャッチーな歌メロがリスナーと曲をつなぎとめてくれるからご安心を。

#9 "夜"感全開。ファムファタール的な妖しい歌い方で世界観を作っていく。歌の表現力の幅広さを物語る一曲。

#10 前の曲とは打って変わってどちらかというと昼をイメージさせるフォーキーで牧歌的な曲。Sorryの持つ世界観の幅の広さに圧倒されるばかり。

#11 ドラムのフレーズが印象的な楽曲。華やかな印象はないけど、UKロックの旨みを上手いことPOPに料理しててかなり好きな楽曲。

#12 サンプリング音を始め色んな音が飛び交う。めちゃくちゃポップ!それこそ子供番組のテーマなんかに使われそうなほど親しみやすい歌なのに、どこか様子の可笑しなバックトラックという対比が面白い。

#13 ドロリとしたサイケデリアがひたすら耳に流し込まれる。またポップだからたちが悪い。脳内をぐるぐるまわり続け、止まらない。そんな曲です!!

Sorryが影響を受けたアーティストとして、Frank OceanTyler,The Creatorなどを挙げていることからも、今作はR&BやHipHopの要素が結構大きいように感じた。間口が広く作られていると思うので、とにかく一度聴いてみて欲しい!!