TOY「Happy in the Hollow」

2020年10月29日

イギリス、イーストサセックス州ブライトンのインディーロックバンドの4thアルバム。


前身バンド、Joe Lean & The Jing, Jang, Jong(ジョーリーン&ザ・ジンジャンジョン)を経て、2012年にデビュー。サイケデリックロック、ポストパンク、クラウトロック、シューゲイザーなどのジャンルを内包した、非常に内省的でオリジナリティある音楽でロンドンを拠点に活動している。アルバムデビュー前から、サマーソニックに出演、NMEの「今聞くべき100のバンド」に選出されるなど、早くからその実力を認められていたことが伺える。

The Horrors(ザ・ホラーズ)のRhys"Spider"Webb(リース・スパイダー・ウェッブ)もバンドを絶賛し、UKツアーのサポートにTOYを器用。未だにTOYのライブではHorrorsのメンバーがDJでサポートをしている。また、Travis(トラヴィス)は自身の曲の中で、「今日は高速道路でTOYを聴かなきゃ」と歌っているなど、ミュージシャンからもその実力を認められている。

過去3作のアルバムをリリースしたHeavenly RecordingsからTough Love Recordingsに移籍後初の作品となる今回のアルバムは、彼ら初のセルフプロデュース/ミックスによる作品だ。


メンバー

・Tom Dougall(トム・ダガル)-Vocal・Guitar

・Dominic O’Dair(ドミニク・オデア)-Guitar

・Maxim Barron(マキシム・バロン)-Bass

・Alejandra Diez(アレハンドラ・ディエズ)-keyboad

・Charlie Salvidge(チャーリー・サルヴィッジ)-Drums

楽曲紹介

1. Sequence One

2. Mistake a Stranger

3. Energy

4. Last Warmth of the Day

5. The Willo

6. Jolt Awake

7. Mechanism

8. Strangulation Day

9. You Make Me Forget Myself

10. Charlie’s House

11. Move Through the Dark

#1 ギター鍵盤系はウワモノに徹し、リズム隊(主に存在感のあるベース)が引っ張っていくドリームポップ。まるで白昼夢を見ているような感覚。上記の動画はこの曲です。

#2 #1の白昼夢を引っ張りつつどんどん袋小路に入っていくような印象。シンセのサイケデリックな音色と途中、ループするベースラインが袋小路に迷い込んだ感があり、とにかくクセになる。

#3 最高にカッコ良いポストパンク。似てる訳ではないが、Killing jokeの名曲「The Wait」を聴いた時と似た爽快感がある!Lillies and remainsとか好きな人は絶対好きだと思う!微妙に揺蕩う幽霊みたいな音色がもうとにかく最高。

#4  #3からのダークな流れを引き継ぎ、若干クラウトロック、、いやクラウトロックを通過したPortisheadを彷彿とさせるベースラインが聴きどころ(徐々に下がってくやつ) 彼らも「3rd」の洗礼を受けたのかな、、とか妄想してみたり。

#5 チープなシンセから始まるなんとも言えない情感を感じる曲。鍵盤部分やコード感含めなんとなーくThe Doorsを彷彿とさせる。

#6 NewWave溢れる冒頭かなんだろーBauhausのドロドロ系の曲とかを彷彿とさせるなんか延々死霊の盆踊りモード、、終わりのないセッション。

#7 レトロな電子音とシューゲイザー的なノイズが合わさった曲。歌の甘酸っぱいようなメロディも含め、とてもロマンチックな楽曲だと思う。

#8 ノイズとチープなリズムマシンにヴァセリンズをスローにしたような歌がなんとも最高!彼らのセンスの良さが伺える一曲。

#9 浮遊感あるギターが何本か重ねられていて、壮大なサウンドスケープを感じる一曲。これは実際にliveで聴いてみたい曲。とても綺麗です!

#10 エフェクティブなアコースティックギターサウンドで幻想的なサウンドを聴かせる。どこかフォークトロニカにも通じる牧歌的な響きと切なさが不思議とクセになる。

#11 ギターのシューゲイザー的アプローチとチープなリズムマシンがなんとも印象的。やはり輪郭の曖昧な白昼夢をみているような感覚。心地よい!

過去3作品と比べても一曲一曲の世界がしっかりあり、かつ彼らが今まで血肉にしてきた様々な音楽がバランスよく表現されているように感じた。そして過去作と比べてもダーク度が高い作品だと思う。と言ってもデスとかブラック系の暗さではなくて、暗い中にも様々なグラデーションがあり、豊かな音楽性を感じることができる。そして歌のメロディがとにかく良いので、内省的な音楽が好きな人は一度聴いてみてほしい。クセになること間違いない!