Modern Nature「How to Live」(2019)
イギリスはロンドンのサイケデリック・ロックバンドの1stアルバム。
サイケデリック・ロックバンドModern Nature(モダン・ネイチャー)はBeak>のWill Nevau(ウィル・ヌヴー)、Ultimate Painting、MazesのJack Cooper(ジャック・クーパー)そしてWoods/HerbcraftのAaron Nevau(アーロン・ヌーヴ)による新バンド。バンド名は映画監督/画家のDerek Jarman(デレク・ジャーマン)の著書「モダン・ネイチャー/デレク・ジャーマンの日記」からの引用で、今作は、メンバーのWill Nevauによるソロ名義、Moon Gangsのインストアルバム「Earth Loop」からインスパイアを受けたということだ。
たまたまPortisheadをキーワードに調べものをしていた時に、Beak>(“PortisHeadの頭脳"ことGeoff Barrowのプロジェクト)のメンバーによる新バンド結成という記事を発見!!(ちなみにThe charlatansの「Modern Nature」というアルバムもあるので注意!!)実際聴いてみたところ、Beak>のもつミニマルな部分だったり、サイケやクラウトロック成分が引き継がれていて、(Will Nevauさすが!)さらにポストロック、ポストクラシカルな要素が加わり、まさにModern Natureサウンドとしかいいようのない独自の音楽を構築している。
ギター・ドラム・鍵盤を主軸に、曲によってチェロやサックス、シンセ等が顔を覗かせる。そして歌は、ウィスパーボイス系で、どちらかというと楽器の一部として機能している様な印象を受けた。シンプルな編成で様々な景色を見せてくれる。これは聴くしかない!
メンバー
・Jack Cooper(ジャック・クーパー):Vocal・Guitar
・Will Young(ウィル・ヤング):Synthesizers
・Aaron Nevau(アーロン・ヌヴー):Drums
楽曲紹介
1. Bloom
2. Footsteps
3. Turbulence
4. Criminals
5. Seance
6. Nightmares
7. Peradam
8. Oracle
9. Nature
10. Devotee
#1 非常に悲しげなチェロの音が印象的。Bloomとは観賞用の花であったり、開花といった意味があるが、この曲のテーマとなる花は一体何を思うのか?
#2 電波通信中と言わんばかりのポッポッポッポッという電子音からバンドでの演奏がスタート。ギター、ドラム、電子音のミニマルな演奏を中心に、途中からサックスが顔を覗かせ、後半はサックスが結構吹き倒す。 街中の喧騒の音なども入りながら気づけば#3へ ↑のMVぜひ見て欲しい!サックスの登場の仕方がかっこいいので!
#3 鍵盤の重い持続音の中、控えめなギターと歌がすっと入ってくる。ジャジーな雰囲気もあるギターが歌に寄り添い、優しい雰囲気を醸し出しているが、鍵盤の持続音と一緒になることで、なんとも浮遊感のある不思議な音楽になる。
#4 マイナー系のギターのアルペジオがなんとも耳に残る。鍵盤も混ざりミニマルながら奥行きのある世界観を作る。囁き系のボーカルは楽器の一部のように曲の世界観を形作っている。
#5 ギターのミニマルなフレーズはまさにポストロック。後半、フレーズもリズムもちょっとずつ崩れていくところが最高!!
#6 クラウトロック的な鍵盤のミニマルな音色の上でゆったりと歌が歌われる 。ノイズやフルートの音色がとにかく最高。タイトル通りまさに悪夢を見せられているようで最高でした!
#7 Mice Paradeなんかのダンサブルなリズムを彷彿とさせる。 ミニマルなギターはとにかくずっと聴いていたい。 後半、響き渡る鍵盤のミニマルな演奏がなんとも耳に残る。
#8 曲の世界観を紡ぐ歌と静かに寄り添うギターのフレーズがなんとも心地よい。歌とギターだけなのだが、サァーと聴こえる音(恐らくはフィールドレコーディングによるもの)も込みでなんだか豊かな音楽を聴いているなぁという気分にさせられる。
#9 ミニマルなギターとドラムの演奏、そして囁き系の歌声がうまくハマり一つの世界観を作り出している。構成としてはシンプルだが、一つ一つのフレーズが欠けてはいけないパズルのピースのように、必然性を持って存在しているように感じた。
#10 チェロがメロディを奏で、鍵盤はミニマルなフレーズをひたすら引き続ける。途中からガラッと変わり、マイスパレード のようなダンサブルなドラムと、それとは対照的な鍵盤の音色が響き渡る。 クラシカルな雰囲気もあり、リズミカルな要素も入り、という不思議な曲。
楽曲としては基本的にはシンプルだし、ミニマルなアプローチが多いが、チェロやサックスや鍵盤による絶妙な味付け、そしてボーカルの心地良い歌メロが一体となって、楽曲ごとに様々な景色を見せてくれる。各々のメンバーの音楽的な趣味はかなり広いと思うので、これから彼らはどうなっていくのか今後も動向を逐一チェックしていきたいと思う。
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